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2014年06月04日

3 蟻 アリ あり

 私は、机の引き出しに、飴を隠し持っている。いつも口の中に食べ物があるのは、歯にも悪いとわかっているのだが、止められない。色鮮やかな包み紙を剥ぎ、ポロンと口に放り込む。甘みが広がる。最初のひとなめが一番甘い。音痴の私が鼻歌を歌う。いつものように飴玉を口に放り込む。うん? あれ? えっ? 飴玉を吐き出す。なにかがピリリと舌を刺した。
 掌に飴玉を受けて、じっと目を凝らして見る。今日は、琥珀色の透明に近い飴をなめた。その、きれいな薄い琥珀色の表面に黒い粒がついている。うん? なんだ? 黄金色にまぎれるように蟻が二匹張り付いていた。死んでいた。私がなめて唾液でおぼれさせたのだろうか。濃い酢のような味がしたのは、蟻酸か? 蟻はむざむざとは死ななかった。私の舌を武器の酸で刺して果てた。
 ひとの瞳の中の 蟻蟻蟻蟻蟻
         富沢 赤黄男
 333333333333……ああ、きりがない。
   ルナール(フランスの作家)
 飴玉にくっついている二匹の蟻をじっと見たら本当に3の形をしていた。琥珀色の飴に3の形で蟻、蟻。私は自衛する。飴を密封容器に入れ、蟻から遮断した。一つだけ引き出しの隅に転がしておいてやった。勤勉な蟻へのプレゼント。どうぞ。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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