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2014年07月30日

ふたり

 バスに乗ったら、前の席に二人の白髪の女性が座っていた。バスの中が静かだったので、会話がよく聞こえた。
A「昨日ね、久しぶりにフグを食べたのよ。美味しかったわ」
B「そう、フカを食べたの。そりゃよかったわね」
 AさんもBさんも銀髪で短髪。Bさんの髪は少し細い。二人は肩を寄せ合い無言でバスに揺られている。
 Aさんは、フグの想いに浸り、Bさんは、フカの想いにたゆとうている。
 Aさんは、戦後の混乱の時に、親戚の漁師の家で食べたあのフグの味を思い出したり、ついこの間テレビで見た、クサフグの産卵の様子を思い返したりしているのだろうか。
 Bさんは、フカは酢味噌が美味しいのだけれど、Aさんは、どんなにして食べたのかしら。私も長く食べてない。魚屋を覗いてみよう。―なんて考えているのだろうか。
B「フカはどこで買ったの?」
A「フカ? フカでなくてフグよ」
A・B「フフフフフ」
 AさんとBさんは、今度はフグとフカを交換して想いに浸っている。
 Aさんは、母親がフカを好きだったのを想い、Bさんは、薄くひかれたフグ刺しの味を想い、湧き上がる唾液を飲み込んだ。
 バスはいくつもの停留所を通り過ぎ夕暮れの町を走り続ける。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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