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2014年10月25日

札の辻・21


 こんにやくが
 恋しくなりぬ天高し

 丸谷才一全集十二巻の完結記念に配布された“八十八句丸谷才一”句集の一句であるがこの句には種田山頭火の句を連想した。
 全集の第三巻には山頭火の句生活を論評した「横しぐれ」がある。
 この随想は1991年に優れた外国小説に与えられるイギリスのインディペンデント外国特別賞を受賞した。
 随想は太平洋戦争の起きる以前の晩秋、丸谷氏の父が友人で旧制高校の国文学教授と四国旅行をしたとき、松山の道後温泉で放浪俳人山頭火と会って飲み交わす。
 酔いも半ば、突然横なぐりの雨となり国文学教授は横しぐれと言った。それに山頭火はいたく感心し、しきりにうなずき雨の中を傘もささず「横しぐれ」とひと声残して消えてゆく。
 丸谷才一は父の死後、偶然筑摩書房版の現代俳句集で
 しぐるるやしぐるる山
 へ歩み入る
という山頭火の句を識りはっとする。父から山頭火との道後温泉での出会いを聞いていたから。

 なかなか死ねない
 彼岸花咲く

 しぐれて山を
 また山を知らない山
 どちらも文中にある山頭火の句である。
 六百ページにおよぶ横しぐれ随想であった。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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