サンデー山口

▲上野展裕監督（左）と河村孝社長

レノファ山口
　前身は49（昭24）年に発足した県サッカー教員団。06（平18）年に、県サッカー協会の「Ｊを目指すチーム創り検討委員会」で、同団を母体としたＪリーグ参入を目指す新クラブの創設を発表。
　現在は㈱レノファ山口が運営し、ホームタウンは、山口市、下関市、山陽小野田市を中心とした県全域。
　レノファは、維新の意味の「ｒｅｎｏｖａｔｉｏｎ」と戦い「ｆｉｇｈｔ」や元気の「ｆｉｎｅ」を合わせた造語。歴史に名を残した県出身の先人たちのように、日本サッカー界に名を刻んでほしいという願いが込められている。

　チーム発足から8年、ついにＪ3に昇格するレノファ山口ＦＣ。山口県初のＪクラブ誕生で、サッカーファンに限らず、山口県全体が盛り上がりを見せている。3月から始まるＪ3の試合をどう戦い抜くのか、また地域に根差したチームをどう作り上げていくのか、河村孝社長（46）と上野展裕監督（49）に聞いた。

昇格はファンのおかげ 河村氏

　―Ｊ3昇格おめでとうございます。最初は監督としてチームにかかわってから3年。これまでを振り返ってみて、いかがですか？
　河村　チームの運営をはじめ、何もかもが手探りでしたが、あっという間にも感じました。スタッフやファンの支えがあったからこそ、ここまで来られたと思います。
　〈シーズン最初のホームゲーム（栃木ウーヴァＦＣ戦）の観客数は2260人だったが、ホームゲーム最終戦（Ｈｏｎｄａ ＦＣ戦）では、シーズン最多の4568人もの人がスタジアムに詰めかけた。維新百年記念公園陸上競技場での試合開催時には「レノファ渋滞」と呼ばれるような現象も起きるほどになった〉
　―着実にチームが地域に根づいてきているように感じますが、今後さらなるサポーター拡大に向けてのお考えをお聞かせください。
　河村　3月中旬に予定されているホームでの開幕戦では、来場者1万5千人を目標としていて、試合前のスタジアムやロッカールームの見学会、ハーフタイムでのアトラクションなどを考えています。
　1万人以上を隔週で動かせる県内のコンテンツはレノファ山口が唯一。地域活性化の一つの要素として、より魅力的なものに育てていきたいです。さらに、対戦相手のサポーターが来山することで、山口の良さをさらに発信できるとも考えています。
　―いよいよＪ3でのシーズンが始まります。目標に掲げておられる「山口県民の誇りとなる地域密着型クラブ」の実現に向けて、また山口県唯一のプロスポーツチームとして、今後のビジョンや抱負をお聞かせください。
　河村　山口県らしさを出すためには、ユースの選手育成にも力を入れ、山口で育った選手たちでもＪ1のステージで戦えるようにしたい。近所の人がＪ1で活躍していたらうれしいですよね。

引き続き攻撃的なサッカーを 上野氏

　―監督就任1年目、かつＪ3昇格を決めた14（平26）年シーズンを振り返っての感想をお聞かせください。
　上野　良かったことは、やはりＪ3昇格を決められたことです。悪かったことと言えば、天皇杯予選の県サッカー選手権大会決勝で徳山大に負けてしまったことですね。ですが、そこで悔しい思いをしたからこそセカンドステージでは13節中9勝という良い結果を残せたと思っています。
　〈昨年2月、新監督として本紙コーナー「聞かせて」に登場した際、シーズン当初は「底力をつけ、攻撃的なサッカーをしていく」との意気込みを聞かせていただいた。来季の戦場・Ｊ3では対戦相手も強くなり、ゲーム数も26から36に増える〉
　―Ｊ3で勝ち進んでいくために、今年はどのようなサッカーを目指していかれますか？
　上野　引き続き「攻撃的なサッカー」をしていくとともに、メンバーも一新されるので連係プレーの習熟度を高めていきます。対戦相手のレベルが上がって刺激を受けることで、進歩していくのが楽しみです。試合数が増えることはあまり気にしていません。
　―山口県民にも「レノファ山口」が浸透してきました。サポーターと山口県民（山口市民）に、一言お願いします。
　上野　ホーム最終戦は試合の内容も良く、昨年最も印象に残っている試合です。今年も皆さんと一緒にチーム一丸となって戦い、子どもたちに夢を与えられるようなチームを作っていきたいです。さらに今年は約20試合がホーム戦になり、観戦の機会は昨年のほぼ2倍に増えます。「またレノファの試合を見たい！」と思ってもらえるサッカーをしていきますので、これからも応援よろしくお願いします。

Ｊ3
　サッカーＪリーグのうち、最高位に当たるＪ1、2番目のＪ2に次ぐ下部組織として、14（平26）年に設けられた。発足2年目となる今季は、13チームが参加する。3月15日（日）に開幕し、11月23日（月・祝）まで3回戦総当たりのリーグ戦36試合が行われる。なかには元日本代表選手が所属しているチームもあり、そことの対戦を山口で観戦できるのも魅力の一つだ。
　Ｊ2に昇格するには、ホームゲームの平均観客動員数3千人以上、年間総合順位2位以内（1位は自動昇格、2位はＪ221位との入れ替え戦での勝利）などが条件。当面は、Ｊ3ライセンスの抹消やはく奪以外でＪＦＬへの降格はない。

「選手たちと山口を盛り上げたい！」
サポーターズグループ「ヤマグチスタ」槿さん


▲（左）太鼓をたたきながら応援する槿さん （右）「ヤマグチスタ」オリジナルマフラー

　ゴール裏で太鼓をたたいたり、コールをかけたりしながら熱い応援を送る約100人のオレンジ色の集団―。試合を見に行った人なら必ず目にしたことがあるはずだ。実はこの団体、「ヤマグチスタ」（角永真一代表）というレノファ山口のサポーターズグループ。その中でも、会場全体の応援を指揮しているとも言えるコールリーダーの槿昭嗣さん（34）に“レノファ山口愛”や応援のコツなどを聞いた。

　―結成はいつなのでしょうか？
　09（平21）年に、試合観戦の場で出会った10人ほどのファンで発足した団体です。「ヤマグチスタ」は、ヨーロッパの言葉で言うと「山口の人々」という意味。原点にあるのは「山口県が大好き！」との熱い思いです。レノファ山口は、山口の未来や希望を背負った存在。そんな選手たちと一緒に「山口を盛り上げたい！」と思っています。
　―一緒に応援に参加するにはどうすればいいのですか？
　入会申し込みという面倒なことはありません。「レノファを応援したい!!」。そう思った瞬間から、あなたもヤマグチスタの一員。ぜひ一緒に愛するふるさとのクラブを応援しましょう！
　―何か決まり事はありますか？
　①試合中はとにかく熱く応援すること②笑顔と楽しさの心を忘れないこと③敵にも審判にも必ず敬意を払うこと―。この三つのおきてがありますが、要するに難しいことは抜きにして、熱く、楽しく、そして他者への敬意を持って応援すればいいのです！
　―オフシーズンにはどんな活動をされていますか？
　横断幕を作ったり、各選手のチャント（応援歌）を考えたりしています。例えば、背番号28番の島屋八徳選手は、東京ブギウギの替え歌で「島屋八徳♪　島屋八徳♪　今日もゴールだワクワク～♪」という感じです。
　―応援するための必需品と言えば何でしょう？
　やはりタオルマフラーですね。コーナーキックやフリーキックなどのセットプレー、点が決まりそうなタイミングで振り回すと盛り上がります。数本ですが「ヤマグチスタ」オリジナルのマフラーも作りました。
　―Ｊ3昇格をきっかけに新たなファンも増えそうですね。
　09（平21）年にＪＦＬ昇格をレノファ山口と共に争っていた松本山雅ＦＣが、今年からＪ1に昇格します。同チームの試合には約2万人の観客が集まっていることを思うと、チームのレベルアップにはサポーターの応援が必要不可欠です。「日本一、熱くて楽しいゴール裏」で一緒に応援しましょう！