サンデー山口

▲朽木で越冬中のコガタスズメバチの女王

　冬、昆虫たちはどうしているの？　その答えの一つを見つけることができるのが裏山の散策です。倒木の樹皮や大きな石の下で越冬している昆虫に出会えます。先日、半分土に埋もれた朽木に触ると、スズメバチが2頭出てきました。コガタスズメバチの女王です。この女王たちは昨年の秋に生まれ、母親の巣から出て、オスと交尾したのち冬眠し、春を待っています（触らないように）。
　春、冬眠から目覚めた女王は、枯木からかじり取った繊維と唾液を混ぜて、とっくり型の巣を人家の軒下や木々の枝先につくります。女王は秋の交尾で得た精子を使い受精卵を産み、子である働きバチが誕生します。働きバチは巣を拡張し、幼虫のエサをとり、子育てを行います。女王バチは、産卵に専念し、さらに働きバチを増やします。秋、1頭の女王バチから出発したハチのコロニーは最大となります。晩秋、母親である女王や働きバチは死に、新しい女王たちに遺伝子は引き継がれていきます。
県立山口博物館 動物担当 田中　浩