サンデー山口

▲奇兵隊が結成された白石正一郎邸

（1日付・松前了嗣さん寄稿の続き）

奇兵隊総督

　藩主より、下関の防御を任された晋作は、6月7日、下関の廻船問屋・白石正一郎邸に入りました。そこで入江九一らと今後について協議をします。
　「高禄者はつまらん。よいよ役に立たん。役に立つなあ、軽卒。薄禄者じゃ」
　彼らは、直ちに奇兵隊編成についての伺い書を藩政府に提出。同月27日、晋作は奇兵隊総督ならびに政務座（藩政の中心メンバー）に任じられました。
　その後、藩内には八幡隊、御楯隊、遊撃隊などの諸隊が次々に結成され、やがてその数はのべ400にまでふくれ上がりました。

暴走する隊士たち

　小倉藩田ノ浦占領。幕府軍艦朝陽丸占拠事件。幕府詰問使斬殺。その頃、藩内では攘夷の正当性を叫び、奇兵隊士らが憤激していました。
　そして、8月16日夜、エネルギーを持て余していた彼らは、更なる事件を起こします。
　藩の上級武士で編成された先鋒隊と衝突。互いに死者を出してしまったのです。この教法寺事件の責任者として、晋作は世子（藩主の世継ぎ）・毛利元徳に切腹を申し出ることになったのです。
（続く。次回は15日付に掲載します）