サンデー山口

▲妻・マサ

（8日付・松前了嗣さん寄稿の続き）

妻への手紙

　「士と申す者は、いつ死ぬる事が有るかも知れぬゆえ、我らでも明日も死ぬる事が有るかも知れぬ。右につき、そもじ（お前）も士の妻なれば、夫が死ぬれば後を守り、操を立て、夫の葬りを致すのが女の役目にてござ候。我らは死してもそもじの事は忘れ申さず候」
　死を覚悟した晋作は、萩で家を守る妻・マサに、手紙を認めました。
「死んでもお前のことは忘れんど」
　彼の妻に対する深い愛情がうかがえます。
　夫としての晋作は、平和寛大。妻・マサのことを一度も叱ったことがなかったそうです。

切腹

　8月27日、教法寺事件から10日ほど経ったその日、事件の原因となった宮城彦助が切腹となりました。
　この時、責任者として処罰を待っていた晋作は、政務座の職を罷免されましたが、覚悟していた切腹は免れました。
　その後、奇兵隊の解散命令も出ましたが、解散して不測の事態を招くよりも、ともかく下関から離させた方がよいということになり吉敷郡秋穂二島村（現・山口市秋穂二島）へ移陣を命ぜられることになりました。
（続く。次回は22日付に掲載します）