サンデー山口

▲久坂玄瑞（絵・苑場凌）

（6月24日付・松前了嗣さん寄稿の続き）

帰国

　晋作が座敷牢に入る10日程前、留学先のイギリスから、井上聞多（馨）、伊藤俊輔（博文）のふたりが帰国しました。
　英米仏蘭の4カ国連合艦隊が長州藩を報復攻撃しようとしていると知った彼らは、横浜に着くと英国公使に面会。砲撃延期の申し出をします。
　そして、6月24日、山口に到着した彼らは、藩政府に対し、攘夷の無謀なることを説きます。
　しかし、攘夷論沸騰する藩内では、その意見を容れられず、井上と伊藤のふたりは、命の危機にさらされるのでした。

長州軍敗走

　その頃、進発論が決定した長州藩では、遊撃軍をはじめとする諸軍勢が上京を開始。
　7月19日、京都御所では、後に「禁門の変」とよばれた、あの戦いが勃発します。
　薩摩・会津藩の激しい攻撃に苦戦する長州軍は、来島又兵衛・入江九一らが戦死。久坂玄瑞と寺島忠三郎は焼け落ちる鷹司邸で自刃。200人以上の戦死者を出し、敗北は決定的に。
　その後、晋作の元に久坂が亡くなったという知らせが届きます。
「どうか嘘であって欲しい…」
　彼の夢の中には、毎晩のように久坂が出て来るようになりました。
（続く。次回は7月8日付に掲載します）