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2015年10月21日

実り

 市内の本屋さんに行くと県内の同人誌等が並んだ郷土の本コーナーがある。そこに、山奥の深く冷たい藍色の川の流れを思わせる表紙の人目を惹く本があった。「文芸山口」同人、古賀武陽氏著“天命の人―俊乗房重源の生涯”。
 紫陽花を見に行った重源の郷の風景を思い出した。重源上人が東大寺再建のための大木をこの郷辺りから切り出した、という展示を見たばかりだった。あの時代どうしてこの地に大木があったのがわかったのか? どうやって都に運んだか? 興味はあったが、昼食の蕎麦に気を取られ中途半端なまま帰った。心残りであった。
 本屋で出会えたのは天の配剤。“天命の人”を読み始めた。
 1186年、東大寺大勧進俊乗房重源は周防国の国務の管理、すなわち国司任官に外知せられた。これにより周防国と縁がきつく結ばれた。巨木輸送には、佐波川に118カ所の堰を造り、山中を切り開き道を造り様々な知恵を駆使し運んだ。
 “天命の人”は東大寺再建という天命を成した重源上人の一代記である。三度の渡宋、尼僧を慕い、支度第一(支度とは、ふしん、建築の意)と称され、衰えない意気込みで86歳までの長命を全うする。
 小気味良い文体で綴られた研究熱心な古賀氏の実りの本である。その精神は重源上人のそれと重なる。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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