2016年01月01日
「次なる10年」に向け、挑戦を開始 渡辺山口市長に、本社社長が聞く

▲左:渡辺純忠 山口市長 右:開作真人 サンデー山口社長
2005(平成17)年10月、山口市、小郡町、秋穂町、阿知須町、徳地町の1市4町が合併。2010(平成22)年1月に阿東町も加わり、県内最大の面積と2番目の人口を擁する、現山口市が「完成」した。合併から昨年で10年が経過し、今年は「次なる10年」に向けてスタートする年だ。挑戦を開始する渡辺純忠山口市長に、開作真人サンデー山口社長が聞いた。
―あけましておめでとうございます。昨年は、山口市誕生10周年という節目の年でした。
渡辺 大きな災害もなく、良い1年だったと感じます。湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」をはじめ、何遠亭、一の坂川交通交流広場、新山口駅南北自由通路の整備など、これまでの10年間のまちづくりが形となり、目に見えてきた年でした。また、世界スカウトジャンボリーやねんりんピック等でのおもてなし、J3優勝・J2昇格を果たしたレノファ山口への応援などを通じて、市民に一体感も生まれました。一方では、多くの山口ファンが誕生したようにも思います。
―10月の10周年記念式典では「健康都市宣言」をされました。
渡辺 この宣言を契機に、市民一人一人が生涯現役で活躍できる「健康都市やまぐち」の実現を目指します。
―同じ月には、健康で元気な高齢者が、全国から山口に集結―。
渡辺 素晴らしい秋晴れのもと、第28回全国健康福祉祭やまぐち大会「ねんりんピックおいでませ! 山口」が開催、約1万300人が来山されました。選手の若々しく熱いプレーを間近で観戦して、健康長寿の大切さを、あらためて実感したところです。
世界と航空路線で結ばれる山口
―昨年の第23回世界スカウトジャンボリーの際には、市内は大勢の外国の方々であふれる「国際都市」になりました。ただ、その後は「爆買い」されるような方々が来山されることもない。
渡辺 本市を訪れる外国人観光客は、近年増加傾向です。2014(平成26)年は、対前年比21%増の2万6264人で、過去5年間で最多でした。
―山口宇部空港と、ハブ空港である韓国・仁川空港との定期便が、今冬から就航されそうです。そうなれば、欧米など全世界と航空路線で結ばれます。われわれの海外渡航が便利になるのと同時に、インバウンドの増加につなげたい。
渡辺 現在、湯田温泉旅館協同組合と連携し、宿泊施設における公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備を促進。また、山口大学と共に、瑠璃光寺五重塔のある香山公園での屋外公衆無線LANスポットの実証実験にも取り組んでいます。今後、スマートフォンで利用可能な外国語観光案内や、多国語看板の整備、公共交通における外国語アナウンスなど、受け入れ環境の充実を図っていければと考えます。
―海外の旅行代理店に、山口市を行程に組み込んだツアーの販売をお願いしたいところです。
渡辺 せっかく山口宇部空港から入国しても、そのまま他県に流れてしまっては意味がない。隣県にはない独自の魅力が求められます。ニッチ層狙いの「田舎体験」などはテーマにできるかもしれませんね。
―海外でも人気の高い「山口県の日本酒」や「食」なども、ツアー内容に組み込めそうです。
渡辺 世界155の国・地域から約3万4千人が集った世界ジャンボリーの際には、主要観光地や中心商店街等を、大勢の外国人がまち歩き。この異文化交流が、今後の山口市の国際化に、大いに寄与したように思います。今後さらに、韓国・公州市や昌原市などの姉妹都市や「日本のクリスマス発祥の地」でつながりのできたフィンランド・ロヴァニミエ市などとの交流や、YCAMを訪れる海外アーティストとの接触などを通じ、異文化を受け入れる国際感覚を、市内に醸成したいと考えています。
J2昇格のレノファ山口
全国のJ2本拠地でシティーセールスも
―レノファ山口FCが、来季はJ2の舞台で戦います。今季の対戦相手は12チームでしたが、来季は21チームに増え、ホームゲームの際には北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、まさに全国各地からアウエーチームのサポーターが来山すると予想されます。
渡辺 J3を1年で駆け抜けたレノファ山口のJ2での健闘に、大いに期待したいと思います。昨シーズン、維新百年記念公園陸上競技場では、17試合が開催されました。延べ7万9241人、1試合平均4661人が観戦。会場周辺は、常に活気で満ちあふれる状況でした。こうした中、維新公園への交通アクセスと駐車場に、課題が残りました。
―「レノファ渋滞」、すごかったです。来シーズンの対応は?
渡辺 これまでも、混雑の予想される試合では、椹野川運動公園を駐車場に開放するなどの取り組みをしてきました。来季については今後、チームや県等と協議しますが、駐車場のさらなる確保は必要となるでしょう。また、全国各地からの「玄関」となる新山口駅から競技場までの交通アクセスも課題です。導線を分かりやすく示したり、場合によっては直行バスの運行が必要になるかもしれません。
―レノファの試合による交流人口の増加が期待できる中、さらに行政で取り組もうと考えられていること、また民間に期待したいことは?
渡辺 ホームではもちろんアウエーゲームでも、山口の良さをPRする方法を模索したいですね。全国に広がるJ2チームの各本拠地に山口から多くのサポーターが押しかけ、その場で山口ブランドの宣伝・販売をするブースなど設けることができれば、チームへの応援と本市のシティセールスのどちらもでき、一石二鳥です。
―これまでの観光宣伝PRは、東京や大阪など大都市圏が主体でしたが、これだとよりすそ野が広がりますね。
渡辺 12月13日には、市商店街連合会とともにレノファ山口祝賀パレードとセレモニーを実施。市民やサポーターの皆様とともに、J3優勝・J2昇格をお祝いしました。今後も、さらなる偉業を期待したいですね。
―J1に昇格するためのライセンス取得には、規格条件を満たすスタジアムへの改修もしくは新設が求められます。
渡辺 以前、姉妹縁組を結ぶスペイン・パンプローナ市で、サッカー専用スタジアムを見学しました。パンプローナ市の人口規模は約19万人で、山口市と変わりません。そこに、CAオサスナの本拠地、約2万人収容のスタジアム「エスタディオ・エル・サダール」があります。試合には1万5千~8千人の観客が集まり、その前後もとてもにぎやかです。チームオリジナルのワインやソーセージなども販売され、市内を経済的にも潤していました。
―そのようなスタジアム、山口市内に絶対に必要だと思います。では最後に、市民に向けて、ひと言お願いします。
渡辺 本年は、「次なる10年に向けた挑戦の始まりの年」だととらえています。これまでの積み重ねの上に、定住促進と少子化対策という最重要課題への対応を重点的に進め、「これが私の故里だ」と実感していただけるような定住実現都市づくりを目指します。引き続き、市民の皆様のご理解とご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
明治維新150年に向けてイメージを形成
新山口駅には南北自由通路・垂直庭園
―山口県が舞台のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」も、年間を通じて放送されました。
渡辺 本市も、舞台として度々登場しました。「花燃ゆ」を契機とした明治維新への関心の高まりを、2018(平成30)年の「明治維新150年」につなげていくためにも、十朋亭周辺施設、菜香亭周辺の創造的歴史公園の整備を継続し、「明治維新の策源地」としての、本市のイメージ形成を図ります。
―宿泊拠点・湯田温泉の魅力向上も、重要なポイントになりますね。
渡辺 昨年3月、回遊促進および観光情報発信の拠点として、湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」を開館。10月には入館者数が10万人に達し、当初の年間入館者数の見込みを、約半年で達成できました。また、6月には井上公園に「何遠亭」の再現整備を開始。これは、三条実美公の居所であり、維新の志士たちの政談の場となったとされる建物です。今後も、さらなる環境整備を図ってまいります。
―陸の玄関口・新山口駅も大きく形を変えました。
渡辺 10月に、橋上駅舎と南北自由通路の供用を開始しました。フランスの現代美術画家で植物学者のパトリック・ブラン氏監修のもと、山口に自生する約140種類の植物を用いた全長約100メートル、高さ約5メートルの垂直庭園も整備。同駅南北間での人の往来が一層盛んになり一体感も増す中、今後も県の玄関にふさわしい都市空間形成を進めて参ります。
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