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2016年01月27日

歴史

 湯田温泉から早朝の福岡行きのバスに乗った。始発の客は3人だったけれど、2時間を過ぎた頃、Aバス停から最後に乗り込んだ乗客に目がいった。
「山田さん!」。私は大声を出していた。山田さんは、こちらを見て、「まあ」とびっくりした顔をした。近くの人達が何事かと一斉に私達を見た。
 私と彼女とは30年間ご近所だった。本の好きな彼女に沢山本を借りた。一緒に旅行にも行った。彼女は、母親の介護のために10年前に故郷に帰った。それ以来の再会、ひと昔経っている。
「お変わりない?」と私。
「いろいろあってね」と山田さん。
「いろいろを聞かせて、歴史を聞きたいわ」「歴史というほど大層なものじゃないけれどね」。
 山田さんは、身体障がい者になっていた。見た目は全く昔のままだが身体の奥深くに病があるという。赤い障がい者手帳を見せながら苦笑した。お互いに身辺の報告をした。
 10年間の歴史はそれぞれ10分で語り終えた。庶民の歴史は簡単なのである。もちろん、その行間に潜む心は顔を見て手を握れば忖度し合える。親愛の長い付き合いの歴史があるから無沙汰はすぐに越えられる。
 窓外には、葉を落とした木々が寒そうに並ぶ。厚いコートを着た人が行く。隣の席の山田さんの頬は紅色。重ねた手はぽっかぽか。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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