サンデー山口

　マイナンバー（個人番号）用の写真を撮った。証明用写真機できちんと坐って規定通りに自然体で撮った。
　えっ、これが私！　出口からパラリと出てきた写真を見てびっくり仰天。私なんだけれど…。唇が曲がっている。目の大きさが左右極端に違う。顔の色が黄土色。鼻が捻れている…そんなもんかと仕方なく納得するけれど、なんかムードが違う。
　一言でいえば「拗ね者の顔」をしているのだ。左目の白目が多いことと、唇がへの字に曲がっていること、眉間の皺でそれが強調されている。
　写真は、内面を表す、とはよくいわれるが、写真機に内面を見透かされたか？　まあね、不満や愚痴は身体の中に充満しているからね。
　では、もう一度挑戦する。
　写真機を欺くのだ。内面なんぞわかられてたまるものか。内なる私は、もっと複雑なのだ。70年も生きてきたのだ。
　料金を入れる（無駄使いしてると思うな、顔に出るぞ）。優しい目をしろ（ジョージ・クルーニーと腕を組んでいると思え。彼の笑顔に応えるのだ）唇に微笑みを（持っていた甘い飴を口に含む）傲慢に見えないよう顎を引け（亡くなった愛猫を思え。慈悲の表情になる）。橙色の朝焼けのきりりとした空を心に描け。
　さあ、どうだ。どうだ。