サンデー山口

▲戯画　木戸孝允筆

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　お花見のシーズンとなりました。ついついお酒が進まれる方も多いでしょう。
　幕末長州藩の政治指導者・周布政之助（1823－64）も、お酒をこよなく愛したようです。大河ドラマ「花燃ゆ」でも、政之助がお酒を飲んでいるシーンがたくさん出てきましたね。
　一方、政之助は酒癖が悪く、それがもとで多くの舌禍事件を起こしています。写真の戯画は、木戸孝允（桂小五郎）が、酒が過ぎる年上の政之助を気遣って描いたものです。君子の眼は天地がはっきりとしているのに対して、小人の眼はぐるぐる回って「天地不能」とし、盃の酒を政之助の命に見立てて、「飲む勿れ、飲む勿れ」と記しています。「麻田公輔」は政之助の変名、「松菊」は木戸の雅号です。この戯画は、周布家伝来の館蔵品です。政之助のお酒好きは止まらなかったようですが、木戸の気持ちを分かっていた政之助は、この戯画を捨てずにおいたのでしょう。二人の交流の跡が偲ばれる一品です。
山口県立山口博物館　歴史担当学芸員　山田　稔