2016年06月08日
坂の上
実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)
「おはようございます」
「おはようございます」と富子さんに挨拶します。
初夏の心地よい風がさやかに吹いています。富子さんは、我が家の二階から首を伸ばせば見える“ひまわりホーム”で生活しています。富子さんは、私の人生の先生であり友人なのです。私は何番目かの弟子です。
富子さんは、80歳。元気で読書三昧の日々です。ちょうど庭に紫陽花が咲いたので持って行きましょう。富子さんは、なんでも喜んで食べてくれます。料理下手の私が作った弁当でも美味しいと食べてくれるので嬉しいです。お握りを持って行きましょう。
富子さんとホームの近くを散歩しました。坂の上の頂上、天に近い所に柔らかい草の生えた空地があります。そこで二人で寝転がりました。
「天の上にはまだ天があって、ずっと天なんでしょうか?」富子さんが目を細めて言いました。「天なんじゃないですか、多分」と私。青い空が広がるばかりで不肖の弟子にはわからない。富子さんの白髪が天からの光にキラキラと輝いています。私はじっと天を見つめましたが、天使の羽も天女の羽衣も見つけられません。お握りの梅干が酸っぱかったので二人で顔をしかめて笑いました。
夜になったので坂の上の富子さんに向かって挨拶します。「おやすみなさい。今日は楽しかったです」
「おはようございます」
「おはようございます」と富子さんに挨拶します。
初夏の心地よい風がさやかに吹いています。富子さんは、我が家の二階から首を伸ばせば見える“ひまわりホーム”で生活しています。富子さんは、私の人生の先生であり友人なのです。私は何番目かの弟子です。
富子さんは、80歳。元気で読書三昧の日々です。ちょうど庭に紫陽花が咲いたので持って行きましょう。富子さんは、なんでも喜んで食べてくれます。料理下手の私が作った弁当でも美味しいと食べてくれるので嬉しいです。お握りを持って行きましょう。
富子さんとホームの近くを散歩しました。坂の上の頂上、天に近い所に柔らかい草の生えた空地があります。そこで二人で寝転がりました。
「天の上にはまだ天があって、ずっと天なんでしょうか?」富子さんが目を細めて言いました。「天なんじゃないですか、多分」と私。青い空が広がるばかりで不肖の弟子にはわからない。富子さんの白髪が天からの光にキラキラと輝いています。私はじっと天を見つめましたが、天使の羽も天女の羽衣も見つけられません。お握りの梅干が酸っぱかったので二人で顔をしかめて笑いました。
夜になったので坂の上の富子さんに向かって挨拶します。「おやすみなさい。今日は楽しかったです」
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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