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2016年08月10日

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

 ポイント20の“さ”の上に虫がとまっている。活字の“さ”の縦線の上に重なってじっとしている。鉛筆の芯ほどの身体に透き通った羽。小さく息を吹きかけたら、虫が動いて、“さ”が“ざ”になった。
 絵本の中の黒い木が、ざらざらざら、とおかしな音をたて始めた。
 虫を虫メガネで拡大した。虫の茶色のまん丸の目と見つめる私の目があった。ポイント20の“さ”の字が拡大されて、虫メガネからはみ出し、もうなんという字がわからない。
 読んでいたのは『[風しもの村](貝原浩 画文集)チェルノブイリ・スケッチ』
  強制避難させられ、廃墟となった「埋葬の村」に入ると、二度と住むことのない家のいまだ色あせぬ窓に、封印の板が村人の無念さそのままに乱暴に打ちつけられていました。
 そっと次の頁を開けると、虫も飛んできた。封印の板が打ち付けられている窓枠は、赤や黄色、緑、空色、オレンジとカラフルなので、虫は花と間違えたのでしょうか、静かにとまり羽を休めた。
 壊れそうなほどの小さな虫。この中に脈打つ心臓があるかと思うと、生命の不思議を思わざるを得ない。
細心の注意を払って次の頁をめくる。虫もついてくる。感じている。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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