2016年12月07日
ランタナ
実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)
空き地に三日前から茶色のサドルの自転車が置かれている。まだ頑丈な車体で捨てられたのかどうかはわからない。
一週間、空き地を通らなかった。その間に雨が降った。自転車はそのままそこにあったが、サドルは濡れ、ランタナの葉がタイヤまで伸びていた。その風情が、ランタナの絡まり具合が、絵ハガキのようにとても美しかった。自転車はきっと捨てられたのだ。
日本海の小さな漁村に暮らす叔母が九十九歳で亡くなった。葬儀に悲しみはなく、大漁歌まで飛び出して、私は魚介汁を二杯もすすり、刺身まで台所で隠れて従妹たちと食べた。三日泊まって帰宅した。
絡まっていたランタナに花が咲いていた。三センチくらいのボールの形をした花。周囲はオレンジ色で真ん中はピンク色。緑の葉の中に咲くそれは私の目を見張らせた。自転車はハンドルだけを残して全てランタナに覆われていた。ハンドルの金属が秋の陽に輝き、緑の葉が元気に茂り、花が絶妙な配置で咲いている。なんて美しいんでしょう。両手で額縁を作って、いろんな角度で切り取ってみた。どこも絵になる。
寒い日が続き、タイヤの下のランタナはもう実をつけ、すでに南に伸び始めていた。その先に片足のないキューピーが捨てられている。ランタナの今度の獲物はそれだ。
空き地に三日前から茶色のサドルの自転車が置かれている。まだ頑丈な車体で捨てられたのかどうかはわからない。
一週間、空き地を通らなかった。その間に雨が降った。自転車はそのままそこにあったが、サドルは濡れ、ランタナの葉がタイヤまで伸びていた。その風情が、ランタナの絡まり具合が、絵ハガキのようにとても美しかった。自転車はきっと捨てられたのだ。
日本海の小さな漁村に暮らす叔母が九十九歳で亡くなった。葬儀に悲しみはなく、大漁歌まで飛び出して、私は魚介汁を二杯もすすり、刺身まで台所で隠れて従妹たちと食べた。三日泊まって帰宅した。
絡まっていたランタナに花が咲いていた。三センチくらいのボールの形をした花。周囲はオレンジ色で真ん中はピンク色。緑の葉の中に咲くそれは私の目を見張らせた。自転車はハンドルだけを残して全てランタナに覆われていた。ハンドルの金属が秋の陽に輝き、緑の葉が元気に茂り、花が絶妙な配置で咲いている。なんて美しいんでしょう。両手で額縁を作って、いろんな角度で切り取ってみた。どこも絵になる。
寒い日が続き、タイヤの下のランタナはもう実をつけ、すでに南に伸び始めていた。その先に片足のないキューピーが捨てられている。ランタナの今度の獲物はそれだ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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