2017年04月05日
時間
実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)
私は、朝起きるとすぐに薬缶に水を入れ沸かします。ガス台の横の流しで顔を洗います。冬の間は寒いので廊下の端の洗面所まで行きません。不精者です。いつも湯が沸くのが歯磨き中なんです。それも右奥歯を磨いている時に沸騰します。薬缶の蓋が持ち上がりカチカチと鳴ります。水から湯へ。時間が見えた、とある朝思ったのです。
すぐガスの火を止めて、左奥の歯を磨きます。薬缶は静まっていきます。カチカチ鳴る蓋から鳴らない蓋へ。これが時間というものではないか。
薬缶から湯を魔法瓶に移します。これで私は朝のコーヒーを飲みます。昼になると湯は温くなっています。
時間は魔法瓶の中にあるのです。
水を火にかける。歯磨きは前歯から始め右奥歯で沸騰する。騒ぐ蓋。火を止め歯磨きを続ける。左奥歯で静まる蓋。魔法瓶に注ぐ。熱湯は昼にはぬるく冷める。時間が見える。
夜、湯は元の水になっています。魔法瓶の中の時間は、私の一日の時間。魔法瓶の中の冷たくなった水は私の中に流れ込み、静かに座ります。一日の時間が積もる。時間の塊は、その年月の数ほど私の中に並んでいます。知っている言葉でいうと、思い出の整列。
朝起きるとすぐに薬缶に水を入れ沸かします。いつも右奥歯で沸騰し、薬缶の蓋がカチカチと…。
私は、朝起きるとすぐに薬缶に水を入れ沸かします。ガス台の横の流しで顔を洗います。冬の間は寒いので廊下の端の洗面所まで行きません。不精者です。いつも湯が沸くのが歯磨き中なんです。それも右奥歯を磨いている時に沸騰します。薬缶の蓋が持ち上がりカチカチと鳴ります。水から湯へ。時間が見えた、とある朝思ったのです。
すぐガスの火を止めて、左奥の歯を磨きます。薬缶は静まっていきます。カチカチ鳴る蓋から鳴らない蓋へ。これが時間というものではないか。
薬缶から湯を魔法瓶に移します。これで私は朝のコーヒーを飲みます。昼になると湯は温くなっています。
時間は魔法瓶の中にあるのです。
水を火にかける。歯磨きは前歯から始め右奥歯で沸騰する。騒ぐ蓋。火を止め歯磨きを続ける。左奥歯で静まる蓋。魔法瓶に注ぐ。熱湯は昼にはぬるく冷める。時間が見える。
夜、湯は元の水になっています。魔法瓶の中の時間は、私の一日の時間。魔法瓶の中の冷たくなった水は私の中に流れ込み、静かに座ります。一日の時間が積もる。時間の塊は、その年月の数ほど私の中に並んでいます。知っている言葉でいうと、思い出の整列。
朝起きるとすぐに薬缶に水を入れ沸かします。いつも右奥歯で沸騰し、薬缶の蓋がカチカチと…。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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