サンデー山口

▲雪舟等楊筆「倣夏珪山水図」

実際の紙面はコチラ（公開期間は発行から1カ月間です）

　今月31日から当館で始まる「雪舟発見！展」。84年ぶりに発見された雪舟の作品が公開される。
　本展は出品数が11点と小規模だが、江戸時代に存在が確認されていた団扇形の絵12点のうち、今回発見となった作品も含め5点が紹介されるので、ぜひ比較しながら見てほしい。
　ところでこの作品、団扇のかたちを描く縁取りの線を見ていると、なめらかな勢いのある線…とは程遠く、少しずつ形を気にしながら筆を動かしていることがわかる。線が二重になっているようなところもあって、雪舟は曲線とか円形が苦手だったのかな、などと勝手な想像をしてみる。
　左右対称となるよう注意を払いながら線を引く雪舟の息使いも伝わってくるようで、画面にはどこか生々しさが漂う。
　この線こそが雪舟真筆の証拠でもある、と明治学院大学の山下教授が話されていたが、たしかにそうかもしれないなと思う。
山口県立美術館副館長　斎藤　郁夫