サンデー山口

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　第74回「中国文化賞」（中国新聞主催）を受賞。「72年間大内人形を作り続けた長さゆえかな」と謙虚に話す柔和な面持ちは、大内人形同様、接する人に笑みをもたらす。
　1959（昭和34）年、天皇・皇后両陛下ご成婚に際し、献上する大内人形を今は亡き妻と手を携えながら製作したことが一番の思い出。現在も箱書き、注文に対して幸せを助長する提案など「自分にしかできない仕事もある」と製作意欲と探究心は増す。
　子どもの頃から絵を描くことが大好き。両親に新しい絵の具をせがめない家計の状況を察し、「目一杯薄めて描いていた」と少年時代を振り返る。
　朝一番の仕事を終えた後、商店街を歩き、行きつけの喫茶店でモーニングを食べることが日課のひとつ。「卵は1日4～5個食べ、牛乳は3合飲む」と食生活にもこだわりを持つ。

1926（昭和元）年12月、広島市生まれ、道場門前在住の90歳。広島で原爆に遭い、1945（昭和20）年、両親と大内塗職人の親戚を頼り、山口市へ。桑原宇之助に師事。翌年、師匠の長女喜美子さんと結婚。息子、娘とともに今なお工房で筆をとる現役の職人。