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2018年01月10日

平穏

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

 寒い日が続いていますね。正月を終え大層なことをしたわけでもないのに身辺の賑わいに押されてちょっと疲弊しています。テレビで初詣の人混みを見ただけで、足腰がだるくなってくる。数十年前は、除夜の鐘を聞きながら寺の開門を沢山の初詣客と一緒に待っていたこともありました。行列の人達の吐き出す白い息、華やいだ顔等で私の若い気持ちが高揚したものです。
 今は炬燵から首と手先だけ出して本を読んでます。それも安心できる時代のもの。つまり、江戸時代から昭和まで。その時代の庶民の心情とは無理なく共感できるのです。
 現代先端の小説の面白さを私は手にすることができない。読むのに努力がいる。そうか、そういう考えもあるのか、科学はそこまで進んでいるのか、こんな展開もあるのか、と驚き立ち止まることが多い。その分、物語に浸れない。
 『裏店の女房連中は梅助の顔を見ると必ず買ってくれた。ちょいと身の上話をしようものならなおさらである』(銀の雨・宇江佐真理著)。梅助は病気の母親を抱える蜆売り。裏店の女房連中の幾度も水をくぐった着物が目に浮かぶ。天秤棒を担ぐ梅助も見える。私もそこに交じって蜆を買う。粒の揃った大きな蜆だ。
 戌年の冬の夜が更けてゆく。私はまだ女房連中と蜆汁を吸っている。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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