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2004年01月14日

美術作品あふれるお寺

美術作品あふれるお寺

 市中心部から車で約20分。仁保下郷にひっそりと構える大きな屋根が特徴的な「玄答院」(巨海裕定住職)は、美しい自然と芸術作品に囲まれた寺。訪れた人たちは、その作品を見て心を和ませている。

 築360年の山寺・玄答院へ続く参道を歩くと、かわいい地蔵たちが出迎えてくれる。大きな屋根を持つ建物の正体は、本堂ではなく寺の台所・庫裡。この中に入ると、まるで小さな美術館のように、目を楽しませてくれる芸術作品があちこちに並んでいる。
 まず、目に飛び込んでくるのが、知的障害を持つ、次男の裕典くん(14)が描いた色鮮やかなパステル画や油絵。緑いっぱいの山に囲まれ、清流が流れる豊かな自然の中で育ったせいか、カマキリなどの昆虫や花が大好きで、小学生の頃から楽しく描いている。個性的な色彩感覚を持つ裕典くんが気に入っている作品が「ミラクルファンタジー」。チョーク状のパステルを綿に付けて、色を塗り重ねてオレンジやピンクのチューリップを描いたもので、何ともいえない柔らかさと優しさに包まれている。この作品は、昨年1月、日仏現代作家セレクションに選ばれ、アートジャーナルリアリズム大賞も受賞した。寺を訪れた人は、祐典くんの優しさあふれる絵を見ては、心を和ませている。
 目を楽しませてくれるのは、これだけではない。頭の上を見ると、2メートル近い巨大な二つの婆羅門だこがギロリとにらみつける。これは、裕定住職(50)の地元、長崎五島列島に伝わる民芸品で、2人の男の子が産まれた時に祖父母がプレゼントしてくれたものだ。
 他にも、妻の起久子さん(45)や裕典くんが作った陶芸作品や粘土細工の数々が並ぶ。ワニの形をした花入れや大きな傘立て、カマキリをかたどった線香入れなど、ユニークな作品が多い。
 起久子さんは、98年に行われた住職就任式の時、何百人もの客をもてなすのに「市販の皿では面白くない」と、陶芸教室に通いながら湯飲みや小皿などを全て手作りした。それがきっかけで、庭に裕久庵「窯起林」を作り、今では趣味を生かして陶芸教室も行っている。
 さらに、本堂には県の重要文化財に指定されている阿弥陀如来坐像がある。高さ2.7メートルの大仏様は、千年近い歴史を秘めたひのき作りの傑作。県内でも1、2を争う大きさだが、知る人は少ないという。
 「ここには、無言の癒やしがある。慌ただしい日常の中、つかの間の安らぎを求めていらして下さい。できれば、事前に連絡をして欲しい」と裕定住職。
 なお、毎月第一日曜日の午前6時からは、参加無料で座禅会を行っている。お勤めの後には玄答院特製のおかゆの接待がある。
 問い合わせは、玄答院(TEL083-927-0715)。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)ニュース
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