2004年02月29日
佐藤晴美さんの作品がフランスの教育図書に

名田島の佐藤晴美さん(65)の皮革工芸(レザークラフト)作品「HANA」が、このほどフランス国内の大学、美術専門学校、美術館、博物館など1200カ所以上に収蔵される芸術教育図書に掲載されることになった。日本の芸術文化を伝えることが目的で、来年2月に発刊される。「HANA」は、昨年7月にパリのルーブル美術館で開かれた展覧会で二つの賞を受賞。革の断面を約9600枚寄せ合わせるという新しい発想が高く評価された。
「HANA」は、昨年7月8日から3日間、パリのルーブル美術館で開催された「フランス・パリ・美の革命展 IN ルーブル」で、学芸員などが選んだ「プリ・デ・リオン(ライオンの門)賞」と、一般入館者が投票で選んだ「トリコロール芸術平和賞」をダブル受賞した。「美の革命展」は、日本の芸術文化をパリの人に広く知ってもらおうと海外芸術交流協会が初めて企画。ルーブル美術館の学芸員らが日本の美術文献などを参考に、油彩画、水彩画、日本画、書道、工芸、彫刻、陶芸など約790点の作品を選考した。
レザークラフトを始めて30年になる佐藤さんの「HANA」は、年に一回行われる「日本レザークラフト協会革工展02」に出品していた作品で、美術文献「現代文化40」(現代文化協会発行)に掲載された。昨年1月、その本を見た選考委員から電話があり、出展が決定。「話を聞いた時は全身に鳥肌が立ち、主人に伝えて2人で飛び上がって喜びました」と佐藤さんは振り返る。
「HANA」は、家の庭に咲いている色彩豊かなバラの表情を、一つの作品に凝縮したものだが、そこに行きつくまでには、並々ならぬ苦労があった。
色の広がりを持たせるため、佐藤さんは新しい表現方法を考えた。それは、色の違う革を何枚も積み重ねてその断面を使うというもの。革の表面一枚の時よりも、深みがあり、微妙な色も出せるようになった。
しかし、厚さ数ミリの革を2・5ミリに切りそろえていく作業には、根気と集中力が必要。10センチの厚さにするだけでも160枚の革を使用する上、革がゆがまないように、力加減に気を付けながら息を止めて慎重に切っていった。3カ月後、ようやく作品が完成。だが、佐藤さんは納得出来ず、外側の葉の部分を全てはがしとり、一からやり直すことに。そして、葉の縁の部分を後ろに折り返す技法を用い、それまでなかった肉厚感を生み出した。
自分の作品が教育図書に掲載されることを聞いた佐藤さんは「想像もしていなかった。名田島の自宅で作った作品が、フランスの若い芸術家たちの役に立つなんて本当に光栄。これを励みに、これからも楽しみながら大好きなレザークラフトを続けていきたい」と喜んでいる。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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