2004年04月07日
没後30年「香月泰男展」スタート

「青の太陽」(1969年)
没後30年を記念した回顧展「香月泰男-〈私の〉シベリア、そして〈私の〉地球」が6日、亀山町の県立美術館(TEL083-925-7788)で始まった。全国6会場を巡回しているこの大型展覧会は、最初の開催地となった東京で、予想を大幅に上回る入館者数を記録。2会場目となる山口は、香月の地元でもあるため、関係者は「山口も東京に続け」と意気込んでいる。入場料は一般730円、学生510円。18歳以下と70歳以上の人は無料。
三隅町出身の画家・香月泰男(1911-74)は、第2次世界大戦後にシベリアに抑留され、その体験をモチーフに代表作「シベリア・シリーズ」を完成させた。また、学校の美術教師をする傍ら、三隅で目にした自然の景観や草花、鳥などを画材に数多くの絵画を残している。
北海道や茨城などを巡回する今回の回顧展は、没後30年の目玉として「シベリア・シリーズ」全57作品を収蔵する県立美術館が中心となり、2年以上前から準備。新しい香月の側面を紹介しようと、全国各地の個人コレクターや画廊を訪ね歩き、これまで公の場に出ていない作品も集めて回った。
こうした苦労のかいあって、最初の開催地・東京ステーションギャラリー(2月7日?3月28日)では、皇后美智子さまがご鑑賞されたことでも話題を呼び、44日間の会期中4万5千人を超える入館者があった。これは、同会場で開かれた油絵展覧会では、歴代2位の大入りだった。その熱気を目の当たりにした県立美術館の安井雄一郎学芸専門監は「会場は常にいっぱいで、香月への関心の高さをうかがい知ることができた。図録も来館者の6人に1人が購入するなど、美術不況の中で驚異的な数字だった」と話す。
同展は第1章「戦前から戦後へ」、第2章「〈私の〉シベリア」、第3章「〈私の〉地球」、第4章「人と生涯」で構成。県立美術館では全フロアを使い、シベリア・シリーズや台所シリーズを含む香月の初期から晩年までの油絵139点、水彩画10点、さらに戦場から家族へ送った軍事はがき、陶画類、手作りのおもちゃなどを展示している。
安井学芸専門監は「東京で幸先の良いスタートを切ったので、地元・山口ではその勢いに加速を付けたい。今回限りという作品も数多くあるので、ぜひ来場してもらいたい」と呼びかけている。
講演会、ワークショップなども
期間中、香月の魅力に迫る様々な企画も用意されている。
講演会は、4月18日(日)午後2時から。戦争と美術について研究をしている早稲田大学の河田明久講師が話をする。定員80人。
4月24日(土)、5月8日(土)、22日(土)に開かれる「親子で楽しむ香月展」は、ゲームなどをしながら作品を楽しむ。対象は幼稚園児から中学生までとその保護者。定員は各日10組で、事前申し込みが必要。
ワークショップ「カヅキカラーを土からつくろう」は5月15日(土)と16日(日)の2日間。美術家・栗田宏一氏の指導で、香月がよく使っていた色の絵の具を作る。事前申し込みが必要で、定員は各日15人。
その他、学芸員と一緒に作品を鑑賞する「ギャラリートーク」も4月11日(日)、25日(日)、5月9日(日)に実施。毎週木曜日には無料の託児所が用意される。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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