2004年04月11日
嘉川で「人材バンク」スタート

嘉川公民館は、特技や技能を持った住民を生涯学習講座などのボランティア講師に登用する「人材バンク」制度を今年度からスタートさせた。市内では陶に続き2例目。当初は人がなかなか集まらず、苦労も多かったが、現在は11人が登録。初活動の「パソコン相談」も無事終了し、まずは順調なすべり出しを見せた。
人材バンク設立の動きが出たのは1年ほど前。1人の地区民が「住民の特技を生かすことで、地区の生涯学習をもっと充実させてはどうか」と公民館に提案したのがきっかけだった。
そこで昨年4月、公民館は早速人材バンク登録を呼びかける記事を全戸配布の「公民館だより」に掲載。しかし、住民からの反応はいまひとつで、数人の応募があっただけ。当初は9月にも始める予定だったが、メドが立たず、それ以降も数回に渡り公民館だよりで広報していった。
すると、徐々にではあるが登録したいと申し出る人が増えてきた。先月末までの登録者数は11人。決して多いとは言えないが、手芸や日本舞踊、パソコン、会計、フラワーアレンジメント、絵手紙、野外活動など幅広い分野の指導者たちが集まった。公民館の杉山昌宏主事は「最初はどうなるのか心配したが、何とかスタートできる形になった。募集してみて、嘉川にも色んな優れた人材がいるのだと改めて知ることが出来た」という。
最初の活動となったのは、7日に公民館で開かれた「初心者向けパソコン相談」。先月末に35年間勤めた会社を退職した竹内元昭さん(57)が講師を務め、相談に訪れた住民たちにワープロソフトやインターネットを指導。最初は少しぎこちなかったが、時間が経つにつれて緊張もほぐれ、最後は冗談も言えるようになっていった。竹内さんは「どんな質問をされるのかドキドキしたが、知っている範囲だったのでホッとした。自分の趣味を生かし、人の役に立てるということで、やりがいはある。自分自身のステップアップにもつながりそう」と喜んでいた。
すでに高齢者生きがいセンターへの人材派遣も決まっており、さらに今後定期的に公民館だよりに掲載し、住民に人材バンク利用を呼びかけていく。杉山主事は「地区住民の交流を深める意味でも、これから登録者、利用者数を増やしていきたい」と話していた。
3年前に立ち上げた陶地区 メリットあるが、利用伸びず
人材バンクをいち早く立ち上げた陶地区の状況はどうだろうか。
同地区では、まちづくりに取り組んでいる民間団体「すえ陶来楽夢わーるど」が音頭を取り、01年に人材バンクをスタートさせた。習字やカラオケ、竹炭作り、剣道、人生相談などの特技を持った地区民17人が登録。幼稚園や小学校、老人クラブなどに出向き、指導している。
設立から約3年、人材バンクの提案者で、自らも陶芸でバンク登録している伊藤健男さんは「幼稚園児から年配者まで、色んな人に指導するので、顔見知りが増えた。そして、何より良かったのは、地区民のボランティア意識が高まり、諸行事に積極的に協力してくれるようになったこと」とそのメリットを説明する。
しかし、一方で派遣依頼数は伸び悩みの状態。登録名簿を公民館に張り出したり、全戸配布の会報紙に掲載したりして、利用を呼びかけているが、依頼数は年間で10件程度。1年間全く活動がなかったために、登録から外れた人もいる。伊藤さんは「事務局も完全なものではなく、全体の活動をきちんと把握できていないのが現状。行政にも協力を呼びかけ、皆が動きやすい体制を作らないと、このままなくなってしまう可能性もある」と危機感を持ちつつ、「何事も軌道に乗るまでが大変。将来、住民から『続けて良かった』と思われるよう、ここで何とか踏ん張りたい」と意欲を見せていた。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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