2004年07月25日
山口駅に駅弁復活

明治維新発祥の地・山口をPRする駅弁「薩長同盟弁当」が17日、JR山口駅で新発売された。大内御堀の弁当・仕出し業者「すぎの子」が史実をヒントに開発したもので、鹿児島産の豚肉と山口産の鶏肉を使用している。国鉄からJRになって以来、同駅で駅弁が販売されるのは初めてということもあり、初日には目標の2倍を売り上げる好評ぶりで、まずは順調な滑り出しを見せた。
JR山口駅では、国鉄時代に津和野の駅弁を入荷し販売していた時期もあったが、20年ほど前に取り扱いを終了。地元山口産の駅弁もなく、観光客や駅利用者から「どうして県庁所在地なのに駅弁がないのか」「山口の駅弁を食べようと楽しみにしていたのに…」という声が聞かれていた。このままではいけないと、同駅売店を運営する下関駅名店街は、取り引きのあるすぎの子の宮崎忍常務(42)に相談。今年4月、駅弁開発がスタートした。
宮崎常務がテーマに選んだのは”維新”。山口には全国に名の通った食材が少なく、県外から来た人に食材でアピールすることは難しい。歴史をテーマにした駅弁は、そのための苦肉の策だったという。「幕末、山口には高杉晋作や桂小五郎(木戸孝允)、西郷隆盛、大久保利通らが集い、維新発祥の地にもなった。これを前面に出した駅弁ならインパクトがあると思った」と宮崎常務は振り返る。
そして、数ある維新の史実の中から、土佐藩坂本龍馬らの仲介で、それまで対立していた薩摩藩と長州藩が手を結び、倒幕を進める原動力となった「薩長同盟」(1866年)を弁当名にすることを4月下旬に決定した。
その史実を基にメニューを考えていったが、価格、ボリューム、食材調達、保存などの壁にぶつかり、試行錯誤の繰り返し。山口駅長らの意見も取り入れ、発売日3日前にようやく、鹿児島産豚肉を使った和風トンカツと、長州鶏のクワ焼きの二つをメーンのおかずにし、その間を取り持つようにタケノコとカツオ節の土佐煮を盛り付けた「薩長同盟弁当」が完成。包装紙には薩長同盟の説明書きと、桂小五郎、西郷隆盛、坂本龍馬のイラストを添えた。
価格は840円(税込)で、土・日・祝日だけの限定販売。「観光客の乗り降りが少ない山口駅で本当に売れるのか」(宮崎常務)という不安もあったが、発売初日には目標の2倍の120個を完売した。同駅売店に勤めて30年の岩本幹枝さんも「物珍しさもあったかもしれないが、驚くぐらい反応が良かった。観光に訪れた人たちも喜んでくれている」とうれしそうに話す。
宮崎常務は「県外の人たちに山口の魅力を駅弁を通じて伝えたかった。いろいろ苦労もあったが、まずは上々の滑り出しでホッとしている」と安堵(あん ど)の表情を浮かべる一方、「今回の駅弁はボリュームがあり、どちらかというと男性向き。第2弾として、年配者や女性をターゲットにした『大内の殿むすび・姫ちらし』(仮称)を年内に販売したい」と次なる商品開発に意欲を見せている。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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