2004年10月08日
密着! 高校生ボランティア
2日、3日に一の坂川・竪小路周辺地区を会場に開催され、約5万人の人出でにぎわった「第9回アートふる山口」で、市内高校生がボランティアガイドを務め、イベントを活気付けた。高校生のボランティアは第1回から続いているが、今年は過去最多の88人が参加。アートふるの案内役として来場者をもてなした。高校生たちに密着し、その仕事ぶりを追った。
高校生ボランティアガイドは、会場内4カ所に設けた詰め所に待機。スタッフTシャツに目印となる黄色いバンダナをまとい、とびきりの笑顔で来場者を迎えていた。まちの歴史や文化、イベントの中で設けられる小さな美術館を約3カ月間徹底的に学んだだけあって、自信は満々。ガイドを要請したところ、野田学園高校3年の河野光くん(17)と同・山村友紀さん(17)がお勧めのスポットを案内してくれることになった。
C・S赤れんがを出発し、最初に訪れたのは明治から昭和にかけ写真館を営んでいた「麻生邸」。ここで撮影された伊藤博文の写真や当時のフィルムに代わるガラス原板を見学しながら、この辺りの街並みの変化を説明してくれた。続いて、山村さんが勧めるお隣りの小林表具店へ。見どころは、「開運なんでも探偵団」に出品され、150万円の評価額がついた吉田松陰直筆の手紙。松陰23歳の時、東北旅行を終え萩で謹慎中に恩師・山田宇右衛門に宛てたものだ。
世界中のお面が所狭しと飾られている中川邸などを見学した後、片岡小路、石原小路を通って八坂神社に向かう。「片岡」は「岡(亀山と春日山)の方」の意、「石原」は一の坂川沿いの小石を指すなど、二人は通り名の由来までしっかり学んでいた。八坂神社に着くと神事の山口祇園祭などに関する解説を始めたが、偶然にも先月の台風で倒れた古木の根を見つけ、思わずガイドを忘れてはしゃぐ姿も見られた。
すっかり打ち解け、世間話をしながら「山口市菜香亭」に到着。敷地内のテントで、建築前にここを発掘調査した際の出土品展示が行われていた。急きょの企画で把握していなかったらしく、彼らも興味深そうに市職員の説明に聞き入っていた。館内のガイドは専属の高校生にバトンタッチ。移築前と変わらぬ廊下やガラス張りに様変わりした大広間の天井など、見どころを余すことなく解説してもらった。
再び二人と竪小路方面を目指す。野田の弘津邸の前で河野くんが足を止めた。この民家の庭には、毛利元就が郡山城に人柱の代わりに埋めた石にちなんだ石碑がある。碑に刻まれた「一日一力一心」にも見える言葉は、一致協力の訓をたれた「百万一心」だと教えてくれた。
明治維新に重要な役割を果たした市史跡・十朋亭、久保小路を抜けてC・S赤れんがそばの浜屋餅舗に着いた。蓄音機から流れる音楽をバックに高校生が焼くおもちを3人でほお張りながら、この地が御茶屋(殿様の宿泊場)だった毛利時代に思いを巡らす。ガイドはここで終了だ。
「学校では学ばなかった地元の歴史や文化を自らの足で取材する中で、自分たちの住むまちに誇りが持てました」と河野くん。部活動で普段からボランティアに関わっている山村さんは「様々な年代、性別、地域の人とふれあえたことが一番の喜び。ガイドをしながら反対に教えられる事も多く、貴重な体験でした」と感激した様子。第1回から高校生ボランティアの世話をしている杉山昭郎元野田学園教諭は「当初25人程度だった高校生ボランティアが今では約90人。自発的に参加してくれていることが何より喜ばしい。また、進学・就職した後も参加する子が多いのがこのイベントの特長」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(1)
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この記事へのコメント
素晴らしい。
Posted by 垂澤 at 2019年02月03日 21:31