2004年10月20日
台風による建物被害 いつ完治?

風速50・5メートルという強風が吹き荒れ、多くの建物に被害をもたらした台風18号。21号の追い打ちもあり、いまだビニールシートに覆われたままの住宅が街のいたる所に見られる。被害後の応急処置は済んだものの、本格的な復旧はこれからといった状態のようだ。
今回の台風の特徴は、観測史上2番目を記録した強風。瓦やトタンなどがはぎ取られたり、飛来物によってガラスや壁が破損したりといった被害が大半を占め、損傷した屋根から雨が降り込む二重被害も多くあった。台風18号の被害に対する「り災証明書」の発行は、12日の時点で約1350件。うち建物の全・半壊は約45件で、住居や倉庫、外構、車庫などの一部損害がほとんどだった。復旧については、シートやトタンなどでの応急処置が終わり、やっと本格的な修繕作業に取りかかっている状態だ。
台風18号以後、市内の建設業者には連日電話が殺到。早朝から日没まで現場に出かけ、休日も返上の忙しさだという。特に被害の多かった屋根については、屋外作業で天候に大きく左右されるため、修理は予想以上に手間取っている。
7人の職人で切り盛りしている市内工務店では、屋根をはじめ外壁、外構、フェンスなど100件近くの仕事を請け負ったが、終えた仕事は4割にも満たないという。事業主は「9月は雨続きで屋根に上がれなかった上、21号のせいで応急処置に次ぐ応急処置に追われ、仕事がいっこうに進まなかった。本来なら、ひと月もすれば復旧のめどが立っていそうなものなのに…。年内いっぱいはかかりっきりになるだろう」と嘆く。建材は倉庫の屋根に使われるスレート波板やトタンが不足している程度で材料はそろっているものの、どこも人手不足で早期復旧は難しいようだ。
トタン屋根や雨とい工事などを専門とする建築板金業もてんてこ舞い。工務店からの下請けもあり、どこも膨大な件数を抱えている。瓦屋根専門の業者も同様で、生活に支障を来すような被害の大きなところを優先しており、一段落した後に受付順に回るという。一方ガラス建材業者は、破損したガラスの入れ替えをほぼ終了し、雨戸やカーポートなどの修理を始めたところだ。
台風による建物被害を最小限に押さえるには、雨といの割れやゆがみ、屋根の部材や固定部材(ネジやくぎ)のゆるみ・さび、瓦のズレ・浮き、しっくいのはがれ、ブロック塀のひび割れといった異常がないかを定期的に点検し、異常に気付いたら早めに修繕すること、雨戸や格子戸を取り付ける、物置をしっかり固定するなどの備えが大事となる。YCAM、南センターは…? 山口情報芸術センター(YCAM)は、屋根全体の半分にあたる250平方メートルの仕上げ材(鋼板)がはげ落ちて下の断熱材が飛散。数カ所の雨漏りの他、屋外照明、ガラスなどが一部破損した。屋根にビニールシートを敷くなどの応急措置をとって、先月10日には通常通り開館。現在急ピッチで屋根の工事を進めており、今月末の完全復旧を目指している。
センターの象徴ともいえる屋根は、破損前と同じ材質の鋼板を使用し、留め金を増やす、止め方に工夫するなどして増強する。市が負担する修繕費は、屋根等の建築工事で約2500万円、フロアコンセントや配管ダクト、屋外照明といった電機設備で400万円。
一方、体育館の屋根が破損し、水浸しになった床に大きな被害が出た南総合センターは、まだ手つかずの状態。床の全面張り替えや屋根の復旧、強風で傾いた運動場のダグアウトの修繕など、復旧には約1千万円の費用がかかるという。入札を終え次第工事を開始し、来年2月末までには終える予定だ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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