サンデー山口

　高齢者街なか居住支援事業検討委員会（委員長＝中園眞人・山口大工学部教授）の２回目の会議がこのほど県庁で開かれた。会議では、県が今年行った白石・大殿地区の空き家分布調査や空き家所有者意向調査、街なか居住意向調査、地区住民意識調査の結果が報告された。

　高齢者街なか居住支援事業検討委員会は、街なかにある空き家を活用することで高齢者向け居住環境を整備していこうと、県が今年度設置した組織。山口市（白石、大殿の一部）と萩市（浜崎、堀内、田町）を対象に、今年度の重点化施策として取り組んでいる高齢者が自立・安心して生活できる地域づくりと、市街地の空洞化に歯止めをかけるための方策の両面から、空き家活用の可能性を探っている。
　２回目の委員会では、前回会議での議論を受けて行われた各種調査結果が報告された。
　まず、空き家分布調査では、山口で84戸、萩で 90戸が確認された。ただし、山口に関しては未調査地域が多かったことから、01年度に山口大が行った調査結果を考慮して１７０戸程度の空き家があると推測している。
　次に、空き家所有者を対象にした意識調査では、１１１枚を配布し51枚を回収（回収率45・９％）。「貸してもよい」「条件によっては貸してもよい」と答えた人が19人。これに対し、「貸すことはできない」と答えた人は26人だったが、積極的な活用を考えている人は少なかった。また、約８割が空き家にしておく事への不安を抱えている。具体的には、山口が「近隣への迷惑」「火事」など、萩は「空き巣・不法侵入」「住居の老朽化」などだった。
　街なか居住意向調査では、山口の宮野、吉敷、平川、矢原、大内地区、萩の椿東、椿、玉江浦地区を対象に１９５３枚を配布。４４３枚を回収（回収率22・４％）した。街なかへの住み替え意向（条件次第では住み替えたい）を持っている人は、アパート居住者で34・５％、戸建て居住者が16・８％。住み替えたい理由では「街なかのほうが便利」「現住居の周辺環境に不満がある」などが目立った。また、空き家活用事業を紹介した上で「借りたい」「条件により借りたい」と答えた人は20・７％。そのうちの38・４％が「ある程度なら改修費用を負担する」と答えた。具体的な負担額は50万円未満が最も多く、１００万円未満が95％。中には４００～５００万円と答えた人もいた。
　最後に、対象地区の住民意識調査では、８１６６枚を配布し１５２９枚を回収（回収率18・７％）した。空き家への新規住民の転居に対しては「空き家だと不用心なので賛成」が51・９％と半数を超えた。ただし「どんな人が入居するか分からないので不安」という人も23・５％あった。一方、「みんなが気軽に集える場所」については65・１％が「近くにあればいきたい」と考えているほか、高齢者のデイサービスや児童の預かりなどのサービスが必要に応じて受けられる場所を望む声も多かった。
　なお住民意識調査では、「近くの人と話をしたり、よく行き来をする」は山口の35％に対して萩は50％、「近所とはあいさつを交わす程度」は山口60％に対して萩31％と、萩の方が地域コミュニティが良好だということもわかった。萩は、町内会・自治会活動や老人クラブへの参加も多い。