2005年02月19日
中原中也記念館 常設テーマ展示「祈り」
指輪型音声ガイドシステム導入
詩や音楽で中也の宗教性を紹介
湯田温泉の中原中也記念館(TEL923-6430)はこのほど、常設展示の内容を一新。来年2月15日(水)まで「祈り~中也の宗教性」と題し、中也の詩の宗教性を探る。また、NTT西日本と協力し、日本初の指輪型音声ガイドシステムも導入した。入場料は一般310円、大学生210円、小・中・高校生150円。
展示では、中也の宗教性をテーマ別に紹介している。まず、「死の時には私が仰むかんことを!」の一行に始まる「羊の歌」の第1節 「祈り」の本文と解説をパネル展示。続く「その背景」コーナーでは、中原家と親交の深かったビリオン神父のはがきや、山口中学校時代に修養生活を送った西光寺住職・東陽円成の著書などを通じ、キリスト教及び仏教から少年時代の中也が受けた影響を紹介する。
次に「神を呼ぶ」では、「寒い夜の自我像」「妹よ」「悲しい歌」の草稿や初出雑誌を展示。詩から読みとれる神への呼びかけを通じて、中也が神に求めていたものは何かを探る。そして、宗教をどのように考えていたのかを評論や日記で紹介するのが「中也の宗教観」。ここには、同館初公開となる「地上組織」の草稿や、「新文芸日記」「千葉寺雑記」を展示している。
最後の「宗教詩人」では、中也の持つ宗教性を深く理解していた友人である関口隆克や河上徹太郎の文章、小林秀雄に贈られた「我が祈り」を紹介。この他、中也の宗教観に影響を与えた書物や音楽に触れられるコーナーもある。
また今回、NTT西日本と協力し、赤外線を使って音声を送受信する“ボイスユビーク”と、無線ICタグの技術を組み合わせた新しい音声ガイドシステムを試験的に導入。指輪型の音声受信機を指にはめ、パネル前の発信機に当てると、展示の解説や詩の朗読、中也の愛聴歌が聞けるというものだ。これは、NTT西日本が昨年7月に開発した新システムで、公に使用されるのは日本で初めてとなる。
さらに、常設テーマ展示中央にある吹き抜けの壁には、光が手に差し込む様子や詩を交互に投影。視覚的にも“祈り”をイメージさせることで、詩の表現の幅を広げようと工夫した。
中原豊副館長は「中也にはその風貌などから“不良少年”というイメージを持っている人も多いと思うが、この展示を通してどれだけ中也が敬けんに神に祈っていたのか、その宗教的な一面を知ってもらえればうれしい」と話している。
なお、同館では4月17日(日)まで企画展「河上徹太郎」を開催中。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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