2005年02月20日
厳しい不妊患者の現状
高額な医療費、周囲の不理解など
県は今年度から医療費助成を開始
赤ちゃんが欲しくても妊娠できない不妊症。日本では10組に1組の夫婦、推定30万人以上が不妊治療を受けていると言われている。医学の進歩と共に妊娠の確立は以前と比べ高くなったものの、高額な医療費、周囲の不理解など、不妊患者を取り巻く環境は依然として厳しい。こうした中、山口県は97年に不妊専門の相談センターを開設、今年度からは治療費の一部助成を開始するなど、徐々にではあるが支援体制を整えている。
県が97年2月、防府市の県立中央病院内に開設した不妊専門相談センター。ここでは保健師や助産師、産婦人科医らが毎日交代で電話相談を受け付けており、相談件数が千件を超える年もある。
相談の大半は、検査や治療の内容、副作用に対する不安、専門病院の情報など。しかし、医療保険適用外の体外受精や顕微受精は1回平均30万円前後の費用が掛かるため、経済的な負担を口にする相談者も少なくない。「不妊治療は長期になればなるほど、肉体的、精神的、そして経済的にも負担が大きくなる。赤ちゃんが欲しいという思いは切実で、定期預金を崩したり、親戚にお金を借りたりして、治療を続ける人もいる」と同センター。この他にも「治療と仕事の両立ができない」「『子どもはまだ?』と言われるのが辛い」「自分が劣っている人間だと思ってしまう」など、様々な悩みを抱えている。
不妊治療を受けている女性を対象に、県が03年に行ったアンケート調査(回答数265人)からも、不妊患者を取り巻く厳しい状況の一端がうかがえる。アンケートに答えた女性の年齢は「30~34歳」が最も多く124人。次いで「25~29歳」71人、「35~39歳」49人の順で、「40歳以上」も11人いた。不妊治療の期間については、初期段階の「1年未満」の127人が一番多いが、「3年以上5年未満」28人と「5年以上」23人を合わせると、長期診療を受けている人は全体の5分の1を占めていた。
また、これまでに要した治療費の総額は平均で43万円。体外受精を受けた人の中には「100万~200万円未満」が26人、「200万~500万円」も15人おり、県や市町村への要望(複数回答)でも「不妊治療の保険適用」(240人)、「不妊治療費の補助」(225人)を望む声が圧倒的に多かった。
こうした状況等を踏まえ、県は二つの助成制度を柱とした「不妊治療等支援事業」を今年度から開始。不妊治療に伴う経済的負担軽減のための支援に乗り出した。
その一つ「特定不妊治療費助成制度」は国からの補助を受けて実施しているもので、保険適用外の体外受精と顕微受精に対して年10万円を上限に2年間、国と県で2分の1ずつ助成。一方、タイミング法、排卵誘発法など保険適用される不妊治療に対しても、県独自の「一般不妊治療費助成制度」で支援。治療費の自己負担分を年3万円、県と市町村で2分の1ずつ助成している。想定申請件数(年間)は特定で500件、一般で3千件。
ただ、こうした一時的な助成だけでは、まだまだ十分とは言えない。県が実施している「不妊専門相談」(面談式)の担当医でもある山口赤十字病院産婦人科の谷川正浩医師は「働く女性が増える中、診療時間の延長や休日診療なども検討しなければならない。また、悩みを抱えている患者さんに対して、専門的なカウンセリングも必要。経済的な理由で治療を途中であきらめざるを得ないケースもある。クリアしなければならない問題は多い」と指摘する。
西村知美さんのトークショー
26日に「不妊を考える集い
県は、不妊患者への情報提供と一般の人達に理解を深めてもらうため、「不妊を考える集い」を26日(土)午後2時から湯田温泉の県婦人教育文化会館で開催する。入場無料。
当日は、県立中央病院婦人科の中村康彦診療部長が「不妊症、その原因と治療」と題して講演。続いて、宇部市出身のタレント西村知美さんが「不妊治療、くもりのち晴れ」をテーマにトークショーを繰り広げる。西村さんは結婚後、2度の流産を経験。長く辛い不妊治療を経て、03年8月に待望の長女咲々ちゃんを出産した。著書に「天然出産」などがある。
県健康増進課は「不妊症の患者さんが治療を続けていくには、周囲の理解が不可欠。1人でも多くの人に参加してもらいたい」と話している。
県は今年度から医療費助成を開始
赤ちゃんが欲しくても妊娠できない不妊症。日本では10組に1組の夫婦、推定30万人以上が不妊治療を受けていると言われている。医学の進歩と共に妊娠の確立は以前と比べ高くなったものの、高額な医療費、周囲の不理解など、不妊患者を取り巻く環境は依然として厳しい。こうした中、山口県は97年に不妊専門の相談センターを開設、今年度からは治療費の一部助成を開始するなど、徐々にではあるが支援体制を整えている。
県が97年2月、防府市の県立中央病院内に開設した不妊専門相談センター。ここでは保健師や助産師、産婦人科医らが毎日交代で電話相談を受け付けており、相談件数が千件を超える年もある。
相談の大半は、検査や治療の内容、副作用に対する不安、専門病院の情報など。しかし、医療保険適用外の体外受精や顕微受精は1回平均30万円前後の費用が掛かるため、経済的な負担を口にする相談者も少なくない。「不妊治療は長期になればなるほど、肉体的、精神的、そして経済的にも負担が大きくなる。赤ちゃんが欲しいという思いは切実で、定期預金を崩したり、親戚にお金を借りたりして、治療を続ける人もいる」と同センター。この他にも「治療と仕事の両立ができない」「『子どもはまだ?』と言われるのが辛い」「自分が劣っている人間だと思ってしまう」など、様々な悩みを抱えている。
不妊治療を受けている女性を対象に、県が03年に行ったアンケート調査(回答数265人)からも、不妊患者を取り巻く厳しい状況の一端がうかがえる。アンケートに答えた女性の年齢は「30~34歳」が最も多く124人。次いで「25~29歳」71人、「35~39歳」49人の順で、「40歳以上」も11人いた。不妊治療の期間については、初期段階の「1年未満」の127人が一番多いが、「3年以上5年未満」28人と「5年以上」23人を合わせると、長期診療を受けている人は全体の5分の1を占めていた。
また、これまでに要した治療費の総額は平均で43万円。体外受精を受けた人の中には「100万~200万円未満」が26人、「200万~500万円」も15人おり、県や市町村への要望(複数回答)でも「不妊治療の保険適用」(240人)、「不妊治療費の補助」(225人)を望む声が圧倒的に多かった。
こうした状況等を踏まえ、県は二つの助成制度を柱とした「不妊治療等支援事業」を今年度から開始。不妊治療に伴う経済的負担軽減のための支援に乗り出した。
その一つ「特定不妊治療費助成制度」は国からの補助を受けて実施しているもので、保険適用外の体外受精と顕微受精に対して年10万円を上限に2年間、国と県で2分の1ずつ助成。一方、タイミング法、排卵誘発法など保険適用される不妊治療に対しても、県独自の「一般不妊治療費助成制度」で支援。治療費の自己負担分を年3万円、県と市町村で2分の1ずつ助成している。想定申請件数(年間)は特定で500件、一般で3千件。
ただ、こうした一時的な助成だけでは、まだまだ十分とは言えない。県が実施している「不妊専門相談」(面談式)の担当医でもある山口赤十字病院産婦人科の谷川正浩医師は「働く女性が増える中、診療時間の延長や休日診療なども検討しなければならない。また、悩みを抱えている患者さんに対して、専門的なカウンセリングも必要。経済的な理由で治療を途中であきらめざるを得ないケースもある。クリアしなければならない問題は多い」と指摘する。
西村知美さんのトークショー
26日に「不妊を考える集い
県は、不妊患者への情報提供と一般の人達に理解を深めてもらうため、「不妊を考える集い」を26日(土)午後2時から湯田温泉の県婦人教育文化会館で開催する。入場無料。
当日は、県立中央病院婦人科の中村康彦診療部長が「不妊症、その原因と治療」と題して講演。続いて、宇部市出身のタレント西村知美さんが「不妊治療、くもりのち晴れ」をテーマにトークショーを繰り広げる。西村さんは結婚後、2度の流産を経験。長く辛い不妊治療を経て、03年8月に待望の長女咲々ちゃんを出産した。著書に「天然出産」などがある。
県健康増進課は「不妊症の患者さんが治療を続けていくには、周囲の理解が不可欠。1人でも多くの人に参加してもらいたい」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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