2005年04月17日
英語と漢字を組み合わせた書 古里・山口を拠点に創作活動

パッと見は〝海〟という漢字なのに、よーく見てみると〝SEA〟という英語のつづり!? そんな漢字と英語を組み合わせた、全く新しい書「ええかんじ 英漢字」(商標登録済み)を考案し、創作活動している葵の書家・國重友美さん(26)が、20日(水)に処女作品集「御祝 Congratulation」(四六判、1575円)を角川書店から出版する。元アイドルという異色の経歴の持ち主でもある國重さん。「〝英漢字〟を山口から全国、いや世界に向け発信したい」と張り切っている。
「英漢字」とは漢字と英語を融合させた新しい書のスタイル。書道歴20年の國重さんが考えついたもので、英語のつづり〝flower〟を使って漢字の〝花〟、〝LOVE〟で〝愛〟などを表現する。ユニークな反面、書としての完成度も高く、見応えは十分。昨年4月、大阪の老舗百貨店で行った個展がきっかけで人気に火が付き、今月20日には約40点の「英漢字」をまとめた初の作品集が出版。國重さんは「作品集が出せるなんて夢みたい。『ウォーリーを探せ』みたいに気軽に楽しんでもらえたらうれしい」と喜びでいっぱいの様子。ただ、ここに至るまでの道のりは決して平たんなものではなかった。
國重さんは1978年山口市生まれ。小学1年生の時に兄の影響で書道教室に通い始め、山口中央高校時代は書道同好会に所属。高校の書道科教員を目指して、神戸松蔭女子学院大学文学部国文学科に進学、アメリカ留学をするなど、充実した学生生活を送っていた。
すべてが順調だった國重さんに、大学4年の春、突然のアクシデントが襲いかかる。教員採用試験応募締め切りの日、願書を抱えた電車内で痴漢に遭遇。犯人を捕まえたものの、警察から事細かな事情を聞かれるうちに、締め切り時間を過ぎてしまい、教職の道は断念、山口市内の建築会社に就職した。
しかし、山口に戻って数カ月後、またも〝事件〟が起こる。友人の勧めもあり、アイドルの登竜門として有名な「ホリプロスカウトキャラバン」に応募。4万3千人の中から最終選考の7人に残ったのだ。グランプリは逃したが、明るい性格、書道科第1種高校教員やサッカー公認審判員4級の資格を持つなど特異な才能が評価され、とんとん拍子に同社とタレント契約。02年、アイドルとして売り出された。その後、アイドルユニットを結成し、歌手デビュー。大阪のテレビ・ラジオ番組にレギュラー出演するなど活躍の場を広げていった。
華やかな芸能界、それなりに充実した日々を過ごしていた國重さんだが、本当にやりたかったことは「書道」。そこで、タレント活動とは別に、大阪の路上で書の詩や絵をかくパフォーマンスを開始。その中で誕生したのが「英漢字」だった。國重さんは「大学時代、留学したアメリカで書道を教えたことがあるが、漢字の持つ意味を外国人に伝えるのに苦労した。その時の経験から、英語と漢字を融合させた新しい書を思いついた」と説明する。
03年秋には書に専念するため芸能界を引退。雑誌の連載、グッズのデザインなども手がけていき、昨年10月にはサンフランシスコで個展を開催、現地の新聞に取り上げられるなど大きな反響を呼んだ。
昨年12月には後河原にアトリエを構え、活動拠点を山口に移した。「東京や大阪などの大都市でなくても、成功を収めることはできるはず」と國重さん。「英漢字」という新しい芸術を世界に向けて発信するため、自然豊かな地元に腰を据え、創作活動を展開する。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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