2005年05月28日
高校生の就職サポーター 就職指導専門員

就職決定率、3年連続で全国トップ3!
今春、県内の高校新卒者の就職決定率は全国2位の97・1%(全国平均91・2%)で、3年連続の全国トップ3入りとなった。こうした好調な高校生の就職状況を陰で支えているのが「就職指導専門員」と呼ばれる人たち。学校の進路指導担当教員やクラス担任と協力して生徒の就職活動を助ける専門職で、生徒に対する就職相談や、求人開拓のための企業訪問などを行っている。専門員の多くは地域の企業OBなどで、独自の経験や人脈を生かし、就職を希望する高校生の心強い味方になっている。山口県が先駆けとなって導入したこの制度は、全国からも注目されはじめている。
県が就職指導専門員制度を導入したのは、高校新卒者の就職決定率が過去最低の93・4%になった02年。国の緊急地域雇用創出特別基金を活用し、県内7つの学区に1人ずつ、計7人を配置した。03年からはこれを若者定住のための重点施策に位置づけ、県独自の事業として人員の拡充を行ってきた。
専門員は、各学区の就職希望者の多い高校に勤務し、近隣の学校の生徒に対しても支援・指導を行っている。現在、県全体で41人、山口・小郡地区には私立高校も含め3人の専門員がいる。
キャリアを生かした支援
学校教員の業務は多岐にわたっており、就職指導だけに専念することはできない。専門員制度の導入によって、教員だけでは手の回りきらなかった、きめ細かな就職指導が可能になった。また専門員の多くは企業の採用担当や会社経営の経験者。企業の求める人材について熟知しているだけでなく、地域の企業に独自の人脈を持つという強みもある。
西京高校に配属された真鍋寛さんは機械メーカーの元役員で、県下の企業事情にも詳しい。採用する側として学生・生徒に接してきた経験を生かすために、03年に応募した。以来、毎年200から300件の会社を訪問して地域の求人を開拓する一方、生徒や保護者の就職相談に応じている。時には教壇に立って授業をする事もあり、総合学習「職業ケーススタディー」では生徒一人ひとりに役柄を割り振って、実際の職場で起こるような問題を再現。問題解決に向けて全員で討論する。「今の高校生には、仕事に対して具体的なイメージを持てない子も多い。考えたことをちゃんと言葉にするのも苦手。ケーススタディーなどで職業観を確立し、自分の考えを言葉で表現する訓練を積むことが、就職活動の上で役に立つ」と真鍋さんはいう。
同校で就職指導を担当している山城毅教諭は「企業との情報交換の上でも、就職に対する生徒の意識づくりの上でも、真鍋さんの役割は大きい」と話している。
数字に表れない効果
専門員制度が導入された02年以後、県内の高校新卒者の就職決定率は上昇傾向を続けている。県教委は「全国的な景気の好転もあり、一概に専門員制度の効果とは言えない」としながらも「県内就職の比率が上がってきている。専門員による雇用の掘り起こしが進んでいるという実感はある」という。また「どの学校の声を聞いても、専門員の存在は非常に大きな助けになっている。数字に表れない部分でも効果は大きい」とも。
ただ、予算の関係で勤務日数は週3日、年間105日以内という制約もある。県教委は「報酬は決して多いものではない。あくまで専門員さんの善意の上に成り立っている制度」と説明している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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