サンデー山口

　「ふーっ、涼しー」－－先月末、市内の市立中学校すべての普通教室天井に、首振り式扇風機が設置された。このところの暑さに気だるそうにしていた生徒たちも「これで少しは快適」と喜ぶ。一昨年市が行った調査によると、夏場の教室の平均室温は27～30度。“蒸し風呂”をやわらげる扇風機は、子どもたちの集中力アップに一役買いそうだ。

　市教委は先月12日、市内の市立中学校11校の普通教室１４１室に扇風機を設置する工事を始めた。作業は授業のない土・日曜を中心に順次行い、今週月曜日に全工事を完了。晴天続きの中、教室に２台ずつ取り付けられた扇風機は、さっそく涼しい風を子どもたちに送っている。事業費は７８２万８千円。
　温暖化の影響もあってか近年の夏の暑さは特に厳しく、学校への冷房設備導入を求める声は数年前から強く上がっていた。それを受けて市教委は、03年に市内全小・中学校の教室の気温を調査。夏休み前の６、７月、夏休み明けの９月に記録をとったところ、最高室温39度、平均でも30度を超えるところがあった。小・中学校ともコンピューター室など特別教室にはエアコンを整備していたが、全教室へは財政上困難。受験を控えた子どもたちに授業に集中してもらう意味などから、今年度は中学校を対象に扇風機を設置した。
　ところで、今回の設置は、県下一のマンモス中学校・大内中学校（髙橋徹校長、８５８人）での事例が参考にされた。
　同校の校舎は３棟が並列しており、二つの校舎に挟まれた第２校舎は風通しが悪い上に日当たり抜群。窓際の席には直射日光が注ぎ、暑い日の室温は40度に達することもあった。03年には、学校の声を聞きつけた市議らが教室を視察。市教委ではモデル的に、同校の普通教室にシーリングファン（天井扇）１台ずつを設置したが、直下に風を送るだけで効果はいまいちだった。見かねたＰＴＡは同年、特に高温になりやすい11教室の天井に首振り式扇風機２台を設置。今年に至ってはよしずを購入し、日光が直射する教室の窓に３枚ずつ立てかけた。髙橋校長は「６月から気温30度を超える中、今年は全教室に扇風機が付いてほっとしている。また、カーテンは風に舞って使えなかったので、ＰＴＡからいただいたよしずはとても重宝。相乗効果で教室内が涼しくなり、生徒の勉強もはかどるのでは」と話している。
　なお、小学校については、今のところ設置は予定されていない。