2005年08月28日
「人間力大賞」石川ミカさんが準グランプリ

夫と共に障害者問題に取り組む
日本青年会議所がさまざまな分野で活躍する若者たちに贈る第19回「人間力大賞」で、山口青年会議所(木下慎一郎理事長)推薦の石川ミカさん(35、嘉川)が準グランプリを受賞した。25歳の時の事故で車いす生活になりながらも、障害者と健常者の間にある壁を無くすため、夫・大輔さん(今年1月心不全のため死去)と共に講演などの活動を行ってきた石川さんは受賞の知らせを受け、「夫の志を引き継いでくれる人が増えてほしい」と話している。
「人間力大賞」は、さまざまな地域で独自にまちづくり、ひとづくりの活動を行っている〝人間力〟あふれる若者に光を当て、さらなる飛躍につなげてもらおうと、日本青年会議所が1987年から実施。各界のトップが選考委員を務め、全国の青年会議所(JC)から推薦のあった若者の中から、特に優れた10人を選出している。
山口JCは「全国に誇るべき若者は山口にもいる」と今年同事業に初参加し、木下理事長と親交のあるバリアフリー推進コンサルタントの石川さんを推薦。応募者数70人の中から1次の書類審査、2次のプレゼンテーションを経て、先月末に準グランプリの受賞が決まった。
石川さんは95年、通勤途中に駅の階段から転落して頚髄を損傷し、車いすの生活を始めることに。当初は体の自由がきかないことや周囲の偏見に落ち込むこともあったが、県立大学入学後、筋ジストロフィーにより同じく車いすを使用する大輔さんと出会い、01年に障害者でも簡単に着られる浴衣づくり「バリアフリーゆかたプロジェクト」を立ち上げ、大きな注目を浴びた。翌年からは大輔さんと共にバリアフリー推進コンサルタントとして、全国各地で延べ160回を超える講演活動を展開。新聞への連載やエッセー集出版など執筆活動も精力的に行っていたが、今年1月、何よりも大切な存在だった大輔さんが他界。現在は気持ちの整理をするため、すべての活動を休止している。
準グランプリ受賞を語学留学先のカナダ・バンクーバーで知ったという石川さんは「正直まだ……。複雑な気持ち。でも、これを機に『障害者と健常者の間にある壁(バリア)を無くしたい』という夫の思いが1人でも多くの人の心に届いてくれたらうれしい」と目に涙を浮かべる。2カ月後、再度バンクーバーに渡る予定で「将来のことは白紙。今は福祉政策が日本より進んでいると言われるバンクーバーの社会を、生活者の立場からじっくり見て、勉強していきたい」という。
また、石川さんを推薦するにあたり、書類審査やプレゼンテーション用の資料づくりを行った山口JC社会開発委員会の坂本睦海委員長は「最初は石川夫妻がどのような活動をしているのか知らなかったが、著書を読んだり、話を聞いたりして、ぜひ全国の人たちに紹介したいと思った。準グランプリはもちろんうれしいが、ここで終わるのではなく、夫妻の思いを山口JCの活動の中でどのように役立てていけるか考えていきたい」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース