2005年09月14日
住民一丸、芝居に挑戦 秋まつりで披露

「素人だが、皆で一生懸命作り上げた芝居。住民の団結力を見に来てほしい」――地域のコミュニティーが希薄化する現代社会の中で、山口市には住民同士の結束力が強い地区がある。鋳銭司今宿道の上地区と秋穂二島仁光寺地区の住民はそれぞれ、地元の秋まつりで手作り芝居に挑戦する。
18 日
鋳銭司今宿道の上地区
ローカル色
の強い「水戸黄門」
18日(日)午後7時から鋳銭司の黒山八幡宮で行われる例大祭で「水戸黄門」を披露する。
毎年、各地区持ち回りでイベントを企画しており、今年は10年ぶりに道の上地区が当番になった。過去2回行った芝居が好評だったことから、今年もメーンの出し物に決定。20~70歳代の男性で構成する「道の上を愛する会」とその妻たちの「野ばらの会」が中心となり、7月初めに準備を開始。「誰でも知っていて面白い」という理由から「水戸黄門」を演じることにした。
物語の舞台は、周防の国・鋳銭司村。隠し銅山で私腹を肥やしていた悪徳代官と商人・周防屋の悪事を、水戸黄門一行が退治するというストーリーだ。途中、鋳銭司にちなんだ“しゃれ”を取り入れるなど、観客を笑わせるための工夫がぎっしり詰まっている。
生まれて初めて芝居に挑戦する水戸黄門役の野村勝敏さん(61)は「毎日、畑仕事をしながらせりふを覚えた。地区民全員が役割を決めて参加しているので、日ごろあまり話す機会のない若い人たちとも仲良くなれてとても楽しいですよ」とにっこり。
また、道の上を愛する会代表の重國誠司さんは「せりふを覚えるのはもちろんだが、大道具や衣装づくりにも苦労した。しかし、土建屋やふすま屋、電気屋、主婦など皆が協力して手作りの温かい舞台に仕上がってきた。立派な花道や背景画もぜひ見てほしい。素人芝居で失敗もあるだろうが、集まってくれた人に、道の上地区の団結力を見せたい」と力強く話す。
22 日
秋穂二島仁光寺地区
「桂春団治
~浪花恋しぐれ」
地元住民による「仁光寺の玉三郎一座」(福田祥介座長)が、22日(木)午後6時半から秋穂二島の仁光寺公会堂で行われる熊野社大祭・前夜祭で「桂春団治~浪花恋しぐれ」の芝居に挑む。
玉三郎一座は15年前、「地域のつながりを深めよう」と、舞台の仕事に長年携わってきた福田座長の提案で結成。以来、毎年祭りが近づくと希望者を募って練習し、前夜祭で芝居を披露してきた。「当初はせりふを言うのでいっぱいだったが、長年やっていると皆これまでの蓄積が演技に表れ、情景を考えながら、感情を込めて役に入れるようになってきた」と福田座長。ここ数年は、市外から訪れる常連客も増えたという。
今年は、今までで最も難しい芝居に挑戦するため、例年より早い6月末に練習を開始。慣れない関西弁や長いせりふに苦労しているという。春団治役の山下清人さん(49)は「芝居の中身も大事だが、住民が一つのものを一生懸命作り上げていく過程に大きな意味がある。正直、せりふを覚えるのは大変だが、年に一度集まって練習することで皆との交流が深まっている」という。
仕事や家事を終えてから行う週3日の練習は、決して楽ではない。しかし、福田座長は「忙しい時間の合間を縫って、皆が地域の行事を盛り上げようと努力してきた芝居は、きっと見る人の心に響くはず」と誇らしげに語る。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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