2005年10月29日
一貫野候補地問題 市民の責任は?

椹野川の源流にあたる仁保一貫野地区で今、一般廃棄物最終処分場建設をめぐる反対運動が起こっている――市民19万人のごみを投入する新処分場建設は、新市の最重要課題。市は仁保坂本地区へ立地を打診するが、市水道水源地の上流であることなどを理由に、住民たちは断固拒否の姿勢を取った。しかし8月、さらに上流部の一貫野で誘致計画が浮上。坂本地区住民は「全市民に諮るべき」と立ち上がり反対運動を展開している。
市民生活に欠くことのできない施設、決まらぬ受け入れ先、美しい水や自然を守ってきた住民の心、減らぬごみ…。廃棄物を生み出す市民一人ひとりが当事者として真剣に考えなければ、問題は繰り返される。
-新市19万人の次期最終処分場-
絶対必要 でも どこに…
現在使用中の神田一般廃棄物最終処分場の埋立容量は約34万立方㍍で、残る容量は約4万立方㍍。08年4月から稼働する中間処理施設による減量効果を考え合わせても、5年後の2010年には満杯になる計算。さらに10年から、新市民のごみは新市内で一括処理される。次期処分場候補地としていた秋穂二島の市有地・塩田跡は、6年前の高潮台風による堤防決壊が引き金となり、地元合意が得られぬまま保留に。処分場建設に要する期間は約5年、現処分場のリミットも5年と、いよいよ状態は切迫。市民のごみの行き場に頭を痛める市は、仁保、宮野、小鯖、平川、吉敷の自治会長に候補地を打診し、仁保自治会からのみ回答を得たという。
まず候補に上がった坂本地区は、話があった3月に住民集会を開き、満場一致で反対と返答。8月中旬に再度打診があったが、住民の総意で断固反対を表明した。その数日後、今度は一貫野地区の部落役員らで誘致の話し合いが持たれ、1人の委員が決議に反対したことで住民説明会を開くことに。同月28日の説明会では、9月に先進施設を視察した後、判断するとした。上流部で誘致話が進んでいると知った坂本地区住民は「流域全体にかかわる問題を一部の人間だけで決めさせない」と結束。「ごみ処分場対策委員会」を立ち上げ反対運動を始めた。今月6日に468人、19日に921人分の署名を市へ提出。現在も署名活動を展開している。
一方、一貫野地区は11日夜にあった3回目の住民説明会で賛否が分かれ、態度決定を見送り。説明不足の指摘を受けた市は、11月初旬に再度集会を設けることにした。仁保自治会では20日、岩国市の最終処分場を先進地視察した後に総会を開き、一貫野地区が出す結論を尊重することを確認。「椹野川の源流を守る会」などは、立地は決まっていないもののこの問題を契機として、処分場を管理・監視、市民へのごみ減量化を啓発する新たな市民組織を11月2日に発足させる。
◇ ◇ ◇
市環境保全課
――安全と言われても心配する気持ちは分かるが、水管理、維持管理、閉鎖後の管理まで責任を持って対応する。一貫野住民の合意が得られれば、処分場は設置する。
仁保自治会 山本繁正会長
――これまで仁保は、集落排水やほ場、道の駅の整備など、市民の手厚い応援によって豊かな村づくりを進めてきた。本当に市民が困っているのならと、手を上げた。公害が出るなら絶対反対だが、視察や度重なる説明で納得している。どのみちどこかへつくらなければならない施設だ。
ごみ処分場対策委員会
水津弘美代表
――処理後の排水について市は「きれいな水だが飲み水にはならない」という。必要であっても、水源地域に建設することを市民は納得しているのか? また、大事なのはごみを減らすこと。山奥ではなく、市民の目に触れる場所を考えても良いのではないか。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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