サンデー山口

第37回日本美術展覧会（日展）の染織や陶磁を扱う「第4科工芸美術」部門で初入選した。「これまで何度か賞を頂いたことはあるが、日展に入選できたことを光栄に思う」と喜びの声。
　入選したのは蝋纈染の作品「秋の気配」。夏が終わり種だけを残したヒマワリが、やがてくる冬に備える様子を描いている。「染織を始めて以来、ずっとヒマワリを題材にしてきた。最近では元気よく咲く様子だけでなく、いろいろな表情を表現することに取り組んでいる。今回は色の深さを使い分けることで、これから冬支度をするヒマワリのひたむきさを演出した」と説明する。
　角屋さんは美容師をしていたころ、花嫁のブーケを制作したことで花に興味を抱いたという。まずは布花を勉強し、教室を開くまでになった。布花を通じて入会した現代工芸美術家協会で染織の魅力に触れ、以来両方の制作を続けている。「趣味で始めたことだが、今ではライフワークになっている。自分の感性が認められることは向上心につながり、やりがいも感じる。制作活動を通じて、モノを創造する魅力をアピールできれば」と恥ずかしげに語るが、まなざしは力強い。

　1943年宇部市生まれ。美容理容専修学校卒業後6年間美容師として働く。布花教室を開講する傍ら染織にも挑戦。今回日展で初入選。63歳。