2005年12月09日
山口の“リトル築地”に —川端市場 再生にかける—

「フク鍋」100食を無料配布
「スーパーにない味、探してみませんか?」――“市民の台所”として長年庶民の食卓を支えてきた中河原の「山口川端市場」が、かつての活気を取り戻そうと立ち上がった。景気の低迷やスーパーの進出で衰退を続ける中、専門店ならではの「質」と「安さ」を広くアピールし、巻き返しを図ろうというのだ。目指すは山口の“リトル築地”。各専門店の2代目たちは商売人の意地と誇りを賭け、市場の再生に挑む。
鮮魚をはじめ、精肉、青果、乾物などの専門店16店舗が入居する同市場は、戦後の物資が乏しい時代から市民の食卓を支えてきた。当時は、一の坂川の御局橋から御茶屋橋まで、川筋にさまざまな店が軒を連ねて商売を営んだ。1階が集合市場、上部は市営アパートという今の形になったのは、1963(昭和38)年。1960(昭和35)年に山口国体の開催が決まり、幹線道路の整備が始まったことから、旧国道9号線(県道宮野・大歳線)に沿った現在の場所に移設された。連日新鮮な食材を求める客であふれかえる市場は、どの小売店よりも活気に満ちていた。
ところが、近年は不況の波に押され、旅館などへの納品が年々減少。相次ぐスーパーの進出で、客足も次第に乏しくなっていった。店舗の中には後継者がなく、撤退するところも出始めた。
同市場は今年6月、現在店を切り盛りしている2代目世代に役員を交代。若き新役員たちは、停滞する市場に活気を呼び戻そうと一致団結した。まず試みたのは、一の坂川・竪小路周辺地区を会場に開かれる秋のイベント「アートふる山口」への参加。休憩所として開放している空き店舗スペースで写真展を開き、さしみ200皿を店頭で無料配布。当日は行列ができるほどの盛況ぶりで、市場はいつになくにぎわいを見せた。
「50年以上かたくなに商売を続けてきた昔ながらの市場の良さを、安心・安全が叫ばれる今こそ市民に知らせたい。安い、新鮮は当たり前。スーパーにない商品も、ここなら手に入る。とにかく一度、来て見て欲しい」と松西恭英理事長。生鮮3品がそろう市場には鮮魚店だけでも7軒あり、店ごとに個性がある。また、店頭に立つ人たちも商品の見定め方や調理法まで親切に教えてくれる。
同市場では今後、春、夏、秋、冬の季節ごとにイベントを組み、若い客層の取り込みを狙う。あす10日は、冬の催しとして「フク鍋祭」を開催。午後1時から新鮮な食材を使って炊き出した「フク鍋」(限定100食)を無料で振る舞うほか、各店で「一店逸品」と銘打った自慢の商品を特価で販売する。
なお、同市場では店舗ごとに、市営駐車場の駐車券と中市第2駐車場などで使える共通駐車券も発行している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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