2006年01月29日
色・つや・風味ともに抜群 盛んだった山口湾の青のり漁…

今では二島の上田さんら5人だけ
今、最盛期を迎えている山口湾の青のり漁。県内ではほかに、下関市粟野と長門市三隅でも行われているが、山口湾で採れるものは真水と海水のバランスが良いため、色・つや・風味ともに抜群。しかし、漁は徐々に衰退し、現在青のり漁に取り組んでいる漁協組合員は、高齢の5人だけになった。秋穂二島の岩屋半島先に住む上田尚平さん(71)は、寒風の吹く中きょうも青のり漁に精を出す。
青のり漁が最も盛んだった10年前、山口・嘉川・阿知須の各漁業協同組合の合計水揚げ量は、年間約62㌧で、漁を行っていた組合員も山口に13人、嘉川に8人、阿知須に3人の計24人いた。しかし、ここ4、5年で状況は一変。漁師の高齢化に伴う後継者不足や海(川)の汚れ、重労働といったさまざまな要因で漁は一気に衰退。昨年の水揚げ量は1㌧に満たず、ついに今年、漁を続ける組合員は5人だけとなった。
そのうちの1人、岩屋半島の先で生まれ育った漁師の上田さんは、約13年前に妻や弟夫婦らと青のり漁を始めた。
上田さんの漁は、寒さと天候との闘い。毎日冷たい海の中に入り、種を付けた網に育った青のりを手作業で刈りとっていく。採れた青のり(1日約4㌔)を3度真水で洗い流し、天日干しに。それをさらに3、4回丁寧に広げ、午後3時までに取り入れるという手間のかかる作業を繰り返す。1日で乾かなければものにならないため、常に空とのにらみ合い。遠くに雨雲を見つけると、長年の勘をたよりに風を読み、取り入れるタイミングを見極めている。
今シーズンは寒波の影響で漁が遅れたが、色・つやともに申し分ないという。ただ、青のり漁は、あと数年で途絶えてしまう可能性が高い。上田さんは「こんな重労働、なかなかやり手がないじゃろ。気合いを入れんと雪がちらつく中、冬の海には入れんよ。ただ、自然の中で人間らしく働ける仕事。やってみたいという人がいれば、いくらでも教えるんじゃがね」と笑顔で話す。
上田さんら組合員が採った青のりは、県内の小売店や県漁連販売山口食品工場(TEL083-987-0100)などで販売されている。上田さんは「1人でも“おいしい”といって食べてくれる人がいる限り、元気なうちは頑張りたい」といい、今年もシーズンの終わる3月初旬まで漁を続ける。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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