2006年04月23日
中村女子高校の試み 山口インフォメーション・カレッジと連携

新時代の女子教育を見つめて 授業単位を認定 県内初
女子専門教育機関として、140年の歴史を持つ中村女子高校(桂雄三校長)。開校以来、女性としてのたしなみや振る舞いに重きを置き、女子高校ならではの特色ある教育を追究してきた。女性の社会参加が活発な近年では、現代社会を生き抜く能力と知識を兼ね備えた人材の育成にも力を注ぐ。特に今年度は、山口インフォメーション・カレッジ(伊東孝夫校長)との協力で高・専連携事業をスタート。19日には、1回目の授業が行われた。
同校は1867年、女子教育の先駆者・中村ユス氏が創設。共学化の波にも動じず、「健全な日本女性の育成」という理念を貫いてきただけあって、他校にはない独自のカラーを持つ。まず、重要視しているあいさつの徹底は、気持ちの良い笑顔とはつらつとした態度をどこへ行っても、誰に対しても示せるようにするのが目的。地域の人たちとの交流を図るため、交通安全を呼びかける立哨にも参加している。また、社会に役立つ第一歩として、校外でのボランティア活動にも積極的。女性らしさや慈しみの心を育む取り組みでは、年中花が絶えることのない花壇づくりが伝統的に続けられている。「生徒自らが考え、目指す女性像を追求できるよう、後押しするのが我々の役目。時代の変化にも敏感に対応しつつ、女子高校だからこそできる教育・指導を大事にしたい」と中野靖子副校長。04年には商業科に代えて情報ビジネス科を設置し、情報化社会で即戦力となる人材の育成にも努めている。
専門学校で
“学び”の視野を広げる
そして、今年度新たに取り組むのは、高校と専門学校とが連携して授業を実施し、単位認定を行うという県内で初めての試み。05年11月に山口インフォメーション・カレッジと高・専連携事業の調印を交わしたことにより実現するもので、情報ビジネス科2年生の科目「文書デザイン」の授業のうち18回を、同専門学校が受け持つ。
授業は、情報検索能力や画像処理技術の習得といった専門的・実践的な内容が中心。専門学校だからこそ用意できる多彩なソフトを駆使して、最終的には独自のホームページの作成にも挑む。また同時に、情報の氾濫によるトラブルを回避するためのメディアリテラシー(正しい情報を選び、発信する能力)も身につけていく。
19日にあった初めての授業には、同科の生徒15人全員が出席し高校で学んできたタイピングなど文書作成の基礎技術を復習した。戸嶋裕子さん(16)は「新しい環境での学習にわくわくしている。将来はIT関係の職に就きたいので、ステップアップにしたい」と意気込む。
授業を引き受ける山口インフォメーション・カレッジは、情報処理の実践力に富んだエキスパートの育成に力を注いでおり、IT系エンジニアやオフィススタッフなど社会で即戦力となる人材を数多く輩出している。同専門学校の片岡陽子教頭は「情報技術について学ぶことは生涯教育ともいわれ奥が深い。まずはいろいろなことが“できるんだ”という意識づけをし、興味を駆り立てたい」と意欲を見せる。夏休みには普通科の生徒を対象に体験学習も計画。情報教育の拡大を目指していく方針だ。
中村女子高校は、専門学校との連携に引き続き、今後は企業とも提携していく。また、携帯電話を活用したモバイル機器の学習も予定している。同校の織田村哲男教諭は「携帯電話の持ち込み許可など、情報化社会に向けて柔軟な対応をとっている。多くの情報を吸収し“学び”の視野を広げてほしい」と話す。
女子教育という大きな枠の中で同校の果敢なチャレンジは続く。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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