サンデー山口

宇部出身・品川能正さん演出

　日韓共同制作演劇「くじら島」が、30日（月）午後７時から山口市民会館で上演される（６時半開場）。人気ドラマ「チャングムの誓い」の主題歌「オーナラ」を歌った歌手、イ・アンの主演で、山口県出身の品川能正さんが演出を手がけた。

　「くじら島」は、宇部市出身の劇作家で演劇企画団体「東京ギンガ堂」の代表を務める品川能正さんが演出、東京ギンガ堂と韓国・釜山市立劇団による共同制作で、初演は９月21日から24日まで釜山で行われた。28日から10月１日までのソウル公演は、連日６００席が満席。そして日本では、19日から25日まで東京・紀伊国屋ホールで、29日から11月２日にかけて、宇部市、山口市、岩国市、下関市、福岡市で催される。
　品川さんは、自身の体験から「山口県にもっと演劇文化を根付かせたい」という思いを抱いていた。そこで01年と04年に「ＫＡＺＵＫＩ～ここが私の地球」を、05年には「沈黙の海峡」を、東京、大阪、ニューヨーク、ロサンゼルスといった大都会だけでなく、県内でも上演。今回の「くじら島」も、同様の理由で県内公演を開催する。
　２時間弱の間に28曲もの音楽、歌、ダンスが入る「音楽劇」で、映画「シルミド」「韓半島」などを手がけたハン・ゼゴンが音楽を担当した。全く文化の異なる二つの民族がボートで上陸した禁断の島が、実は巨大な鯨の背中だったという話。ボートが〝地震”で流されてしまい、そこで出会った彼らの反発しあう様子や、若い男女が愛をはぐくむ姿を通じ、人間と自然との共生、異民族間の友好などを訴えかける。長門市通地区の鯨漁をモチーフとした。
　主演の韓国の人気歌手、イ・アンは、両民族を見守る「海霊」役で、10年間学んだ国楽に裏打ちされた迫力ある歌声を披露する。日本人俳優は、稲垣昭三、花房徹、要田禎子、田島俊弥、高橋幸子が、韓国人はイ・ドンヒ、ヨム・ジソン、イ・ヒョクウ、キム・ウンヒ、ユ・ソンジュが出演。それぞれ母国語で演じ、韓国公演においては、日本人による日本語のセリフ時には、舞台両脇にハングル字幕を表示した。逆に日本公演では、韓国人俳優がしゃべる時には日本語字幕が流れる仕組みになっている。劇中、役者が宙づりになるシーンなどもあり、品川さんは「幅広い年齢層が楽しめる作品。お祭りに行く気分で楽しんでほしい」と話している。
　市民会館での山口公演は、有志による実行委員会（多々良健司委員長）が準備を進めている。京都をしのぐほどの文化都市だった山口で、かつてのように〝本物”を観賞できる機会を増やしたいという思いで活動。そのため山口公演では、当日午後３時から、舞台リハーサルの模様を見学できる機会も設ける（チケット購入者のみ、先着１００人）。
　入場券は、一般３千円（当日は５００円増し）、大学生と70歳以上は２千円、高校生以下千円。市民会館、情報芸術センター、三好屋楽器店、十字堂楽器店などで販売している。また、当日は託児もする（23日までに要予約）。問い合わせは同実行委員会（TEL080-3021-6980、http://blog.goo.ne.jp/kujira-yamaguchi）へ。