2007年01月21日
パーキンソン病の藤本勉さんが徳地・串で独自のボランティア活動

13年前からパーキンソン病を患っている藤本勉さん(徳地串、60歳)。筋肉の固縮で体や口が自由に動かすことが難しくなったにもかかわらず、「自分にできる範囲で、何か人のお役に立てられれば」と、5年ほど前から串地区で、独自のボランティア活動を続けている。
塩化ビニールの原料などを作る工場で働いていた藤本さんは94年、筋肉の固縮や動作の緩慢、姿勢保持障害などを引き起こすパーキンソン病を患い、ほぼ同時期に交通事故にも遭って、働くことが困難になり退職。それからは自宅で農作業を行っていたが、徐々に症状は悪化。また薬の副作用も出て農作業をすることさえも困難になり、七反あった田んぼのほとんどを売ってしまった。
打ち込める何かを探して精神的にもまいっていた時、ある出来事をきっかけに彼は大きく変わった。自宅のすぐ横にある、海抜450㍍の「文殊岳」に登山に来た人が「登山口や、山頂までの道がよくわからない」と困っているのを見たことだ。「自分の力で何かできることがないだろうか」と、文殊岳入り口と山頂までの道に案内看板を立てることを思いついた。一人山へ行って木を切り出し、案内板を手作り。山に登りながら曲がり角や道の交わる場所に一つひとつ立てていった。こうした藤本さんの活動に共感した地区の人たちも、登山道や山頂の雑木の伐採、看板や登山記録簿箱の設置など、文殊岳の整備を一緒に行うようになっていった。
また藤本さんは、地域のいたる所に地蔵が埋まっていることを知ると、すべての地蔵を掘り起こし、木製の赤いエプロンを着せ、番号を付けて回った。地蔵が全部で88体あることを確認し、お大師様八十八カ所の地図も作成。さらに、大量のホタルが生息している串川にホタルを見に来ていた人が「きれい。クリスマスツリーみたい」と感動しているのを知った藤本さんは、「串川がいつまでもホタルの生息するきれいな川であってほしい」と、3年前にホタルの保護活動も開始。川土手に古タイヤで作ったホタルの模型看板を設置したほか、徳地総合支所や中学校などにも協力を要請して川の自然保護を呼びかけた。こうした藤本さんの行動が発端となり、現在では地区をあげて串川の保護に努めている。
藤本さんの活動を支援している伊賀奎子さんは「純粋に誰かのためにという気持ちが伝わってきた。楽しそうに活動している姿を見ると、わたしも元気をもらえる」とにっこり。藤本さんは「自分の活動に共感してくれる人がいてうれしい。これからも串のために自分のできることをいろいろやっていきたい」と笑顔で話していた。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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