2007年02月02日
県大生、放置自転車をリサイクル

4月以降、留学生に貸し出し
「ごみの減量にもつながれば」
山口市桜畠にある山口県立大学の学生たちが、昨年10月からパンクなどで使えなくなった学内放置自転車の再生作業に取り組んでいる。部品交換やパンク修理といった初めての試みに苦戦しつつも、これまで10台を再生。4月以降、留学生に無償で貸し出すことにしており、学生たちは「自分たちがピカピカにした自転車が“チャリーンチャリーン”と走っているのを想像すると、今からとても楽しみ」と声をそろえる。
同大学では、盗難届のあるものを除いて、毎年約60台もの自転車が処分されていた。そこで、この“もったいない”現状を何とかしようと、国際文化学部の安渓遊地教授が「放置自転車の再生」を企画。昨年10月、自身が担当する基礎演習および専門演習の学生13人と作業を始めた。
学内にある自転車置き場の一角に「自転車工房」という看板を掲げ、毎週火曜日の午前中に作業。学生たちは二人一組になって、まずブレーキやタイヤなどの点検を行い、壊れている部品を取り外し、まだ使える部品と交換していく。
しかし、自転車の修理をしたことのない学生がほとんどで、作業は難航。なかなか思うように進まなかった時、安渓教授の提案で、地域の放置自転車の実情を知ろうとJR山口線宮野駅の「地域交流ステーション宮野」を訪問した。そこで和田敏男館長から、駅にかつて若者がたむろし放置自転車も乱雑に置かれていたことや、一台のかごにごみが入っていると、たちまちまわりもごみだらけになるため毎日掃除を欠かさなかったことなどを聞いた。そして、5年間の地道な努力が実り、今では駅周辺が見違える程きれいになったという事実、また“駅を守りたい”“みんなに愛される駅にしたい”という思いで行っていることに感心した学生らは「自分たちも同じ。できそうにないとあきらめるのではなく、まずはやってみることが大事」と決意を新たにしたのだという。
そして、最初は自転車の部品を取り外す時、どの道具を使えばよいのかという初歩的な段階でつまずいていた学生らも、みんなで協力しながら一つずつ壁をクリアし、再生作業を続行。仕上げにスプレーで色を塗ってピカピカに磨き、約3カ月かけて10台の自転車を再生させた。
国際文化学部2年の酒井悠希さんは「この作業を通して、実行することの大切さを学んだ。これからも何か自分にできることを見つけ、ごみの減量などに貢献していきたい」と言い、安渓教授は「将来的には地域と大学が手をつなぎ、近所の困りごとを解決する道を切りひらいていければ」と話している。
なお、再生作業は来年度も行っていくという。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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