2007年03月10日
乗福寺・大内氏始祖琳聖太子の供養塔

住民一丸 荒れ果てた周辺を整備
2004年の台風などで荒れ果てていた、大内御堀の乗福寺境内にある「琳聖太子の供養塔」周辺が、地元有志でつくる「大内の史跡をまもり隊」(篠原智代表)の活動によってきれいに整備された。先月25日には、土塀の修復工事が完了したが、ここにきて新たな問題が浮上。雨による泥はねでせっかくの白壁が汚れているのだ。再建資金も底をついたまもり隊では、泥はねを防ぐ常緑多年草を敷きつめようと、新たに募金の呼びかけを始めた。
周防最古といわれる禅寺・乗福寺は、1312年に守護大名大内重弘が建立。境内には、大内氏の始祖とされる百済国・琳聖太子の供養塔をはじめ、大内重弘、山口を開いた弘世の墓がまつられている。また、幕末には坂本竜馬が長州藩士と会合し、薩長連合の密議を重ねたところでもある。
供養塔を囲む土塀は、明治時代に造られたが、04年の台風の被害もあり、朽ち果てたまま放置されていた。地元では「大内文化の大本がこんな無残な状態では」と、寄付金を募りながら、倒木の処理や境内の清掃、案内板の設置、大内文化を学ぶ勉強会などを開催。そして国民文化祭を控えた昨年10月、自営業者や会社員など約20人でまもり隊を結成、専門的な土木作業も必要なことから「建設山口」の組合業者らの協力も得て、供養塔を囲む土塀の本格的な修復作業に取りかかった。
昨年12月までに、78人の市民から総額51万4千円の寄付が集まり、それらを土塀の材料費にあてた。土日を利用し、崩れた土塀を撤去。それから手作業で基礎を築き、約2カ月間乾燥させた。今年に入ってからしっくいを塗って瓦をのせ、最後に傾いた石塔と鳥居のずれを直した。延べ約60人が作業に協力し、篠原さんは「地元住民をはじめ、支援してくださった皆さんのおかげでここまでやれた。これからも定期的に整備をし、訪れる人が気持ちよくお参りできるようにしていきたい」と話している。
土塀への泥はねを防ぐ
“たまりゅう募金”開始
土塀の再建は無事終わったが、新たな問題が持ち上がった。周りが赤土のため、激しい雨が降ると白い壁が泥はねで汚れるのだ。
まもり隊では、この対策として、常緑多年草の「たまりゅう」を土塀の内側と外側に敷き詰めることに。最低でも1200円のマット65枚(7万8千円)が必要となるため、新たに“たまりゅう募金”を開始した。現在、広く市民に支援を呼びかけている。まもり隊のメンバーは「行政にまかせきりだと行き届かない面も多いが、住民が意識を持って一丸となれば、大切な文化財を後世に残していけるはず。今後も、みんなの力を合わせ、大内文化を守っていきたい」と声をそろえる。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース