2007年03月11日
仁保の松尾さんが自然食料理店を開店

「食」への思いを故郷山口で実践
仁保下郷の松尾美子さん(28)が、自宅を改装した自然食料理店「なないろのんた」の開店準備を進めている。病気を乗り越え、長年抱き続けてきた、食文化の大切さや食の安全を呼びかけたいという思いを、地元産の有機米、野菜を用いた料理の提供、野菜、無添加の調味料や農産加工品などの販売を通じて実現させる。
松尾さんは、生まれつきぜんそくを患い、17歳で症状が治まるまで9回入退院を繰り返すほど重い症状だった。10歳のころ、当時は現在のように一般的ではなかった玄米や有機野菜を用いた料理を食べ始めたことがきっかけで、食べ物の大切を考えるようになった。高校生になると、闘病でつらい思いをした経験から「流れてくる情報をうのみにするのではなく、自分自身で情報を選択する知識や能力を身につけたい」という思いが強まり、このころから、安心できる食の情報が入手できる場所をいつか自分の手で作りたいと考えるようになった。
食事を工夫するなどしたかいもあり、ぜんそくの症状が治まった松尾さんは、長寿地域として知られる沖縄とその独特な食文化について関心を抱いていたことから、沖縄の専門学校へ進学。現地の郷土料理店「潭亭」へ就職し、5年にわたり料理の修業をしながら、沖縄の伝統的な食文化に触れた。
やがて、現地での暮らしが長くなるうちに、時折実家から届けられる野菜に故郷の四季を強く感じるようになり、山口のすばらしさをあらためて実感。こうした思いが積もり、「このような野菜はいつまでも手に入るわけではない。山口に戻り有機野菜を使用した料理を作り、食の大切さを情報発信していきたい。生産者の支援にもつながるはず」と料理店の開店を決意した。その後、北九州市の自然食料理店でさらに1年半経験を積み、06年4月に帰山。今年春の開店を目指して準備を進めてきた。
店で提供する料理は野菜が中心で、植物性の食材のみを使用する。自家栽培と仁保の農家で栽培された有機野菜、仁保有機米愛好会が栽培した米を使用し、調味料は日本各地の伝統的な製法による塩、しょう油など無添加のものを厳選。食材だけでなく、店舗の外装、内装、備品も自然素材にこだわった。店の看板は、宇部市在住の画家・岡本正和さんが山口の風景を描いた鉛筆画に、松尾さん自らが店名と虹をデザインしたものを用意する。また、潭亭のオーナーからは、開店にあたりイス6脚と数多くの食器が贈られ彼女を感激させた。「安心して食べられる料理を通じて、山口の自然の豊かさを感じてほしい。そこから生まれた食材のおいしさ、先人が残した食文化や伝統を1人でも多くの人に伝えていきたい」と松尾さんは意気込みを話す。
オープンは19日(月)正午。営業時間は、喫茶と販売が午前10時(20日以降)から午後7時までで、食事は全て予約制。夕食は4月からの提供を予定している。火曜定休(20日は営業)。問い合わせは同店(TEL083-927-7770)へ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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