2007年03月21日
調律師・松原 がコンサート企画 ピアノ2台の音楽表現

華やかな演奏会を陰で支えるピアノ調律師。決して表舞台に出ることのないこの仕事に、40年間ほぼ毎日休むことなく打ち込んできた男性がいる。「調律の技術は宣伝するものではなく、認めてもらうもの」という信念を貫いてきた朝田の山口ピアノ調律センター代表取締役・松原一博さん(64)は、これまで支えてくれた人々への感謝の気持ちを込め、初めて自社主催でのコンサートを企画。4月7日(土)午後2時から、山口市民会館大ホールで、グランドピアノ2台を使った豪華な演奏会「ピアノフェスティバルイン山口」を開催する。入場無料。
現在、山口市民会館、県教育会館、ルネッサながと、秋吉台国際芸術村、萩市民会館など県内17ホールの専属および指定調律師として活躍している松原さん。これまで、コンサートで調律を担当したアーティストは、世界的に有名なバイオリニスト・葉加瀬太郎をはじめ、小曽根真、向井山朋子、綾戸智絵、東儀秀樹、矢野顕子、バリーハリスなど、その数は千人を超える。月平均20本のコンサートをはじめ、約200人のピアノ講師とその生徒の調律も担当。年に2日休めればいいという、多忙な日々を送っている。
アーティストは時に、できるはずのない注文を松原さんに要求する。
「腐った音がしているから、葉っぱの上に露が落ちてころころっところげたような音にして」「このピアノ優等生だけど、遊んでくれない。私の演奏を聴いて求める音を感じて」
無理な注文にも、松原さんは嫌な顔一つせず、アーティストの納得した顔が見たいと、希望の音を出せるよう調整していくのだという。「“これであなたに任せられる”と言われた時が、一番うれしい」と松原さん。バリーハリスにも「お気に入りの調律師」と認めてもらった。
調律を始めて40年、自社創立25周年にもあたる今年、松原さんは一つの節目としてコンサートを企画。黒子的な存在のピアノ調律師を多くの人に知ってもらうとともに、若い世代に引き継いでいきたいという思いを込めている。
当日は、グランドピアノ2台を使用。ピアノ講師とその生徒16組が出演し、モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ」、チャイコフスキー「くるみ割り人形より『花のワルツ』」などを演奏。エリザベト音楽大学講師の山根浩志さんと柳田信策さんもゲスト出演する。松原さんは「2台のピアノという普段なかなか聴くことのない音色を楽しんでもらいたい」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース