2007年05月25日
減らぬ放置自転車

以前から問題になっている放置自転車。市は、これまでにも条例制定や整理員配置などさまざまな対策を行ってきた。しかし、放置自転車の台数は一向に減らず、最近では1年に約700台の自転車が、市が管理するJR山口・湯田温泉・矢原駅から撤去されている。今月15日には山口警察署と共に山口駅駐輪場で放置自転車の撤去作業を実施。約80台の自転車を撤去した。誰もが手軽に利用でき、値段も比較的安い乗り物だけに、放置自転車はなかなか減らないのが実情。近年では、放置自転車が自転車盗の温床にもなっている。
市と山口警察署は15日、JR山口駅駐輪場で放置自転車の撤去作業を実施。大殿地区安心のまちづくり委員会5人、大学生・高校生ボランティア30人も加わって約80台の放置自転車を撤去した。高校生ボランティアとして参加した岡藤弓子さん(15)は「自転車は便利な乗り物なのに、こんなに放置自転車が多いなんて驚いた」と話す。
市は放置自転車問題の深刻化を受けて、95年に「放置自転車の防止に関する条例」を制定。以来、JR山口・湯田温泉・矢原駅とその周辺を放置規制区域に定め、年に10回程度、1週間以上放置されている自転車を警告後に撤去している。撤去した自転車は、市内3カ所の保管庫で6カ月間保管。持ち主が引き取りに来ないものは、程度の良いものはリサイクルに、使えないものは処分される。また、市は各規制区域に放置自転車の整理員を1人配置。自転車の整理と駐輪場に止めるよう声かけを実施している。そのほか、昨年は放置自転車が増える長期休暇前に、湯田温泉駅を利用する山口大学の生徒に対してはポケットティッシュやポスターなどで、山口駅を利用する市内の高校に対してはお願い文を生活指導教員に持って行くなどして、放置自転車防止の啓発活動を行った。
しかしその数は一向に減らず、5年前には500台前後だった撤去台数は、05年度には732台、06年度でも同等の数に上っている。特に湯田温泉駅は台数が多く、1回で200台近くが撤去されることも。今年のゴールデンウイークには、放置自転車が多く、駐輪場に入りきらなくなった自転車が道にまではみ出し、何時間もかけて整理が行われた。
駅付近の住人は「長期休暇前は本当にひどい。線路沿いの道路約100?の範囲にまで自転車が2、3列にして止めてあり、家から車が出せない状態になる。市に言っても、職員の異動があるため、詳しいことがわからず対処し切れていない」と嘆く。一方、山口大学の学生は「実家から帰る時は自分の自転車があるか不安に思うものの、大学生にとって自転車は便利な交通手段。バスはお金がかかるし、大学から歩くにも距離があり、毎回自転車で来るしかない」と話している。
さらに、大学や商店街内の店舗駐輪場でも、放置自転車は問題になっている。山口大学では、毎年約400~500台の放置自転車が出ており、処分しないと新入生の自転車置き場が確保できない状態。中市のちまきやの駐輪場や米屋町のみずほ銀行の前にも多くの自転車が放置されている。米屋町振興会の山本恵一郎さんは「撤去したいと思うが、人のものだと思うとなかなか撤去できずにいる。放っておいても、放置自転車の台数が増えていくだけなので困っている」と語る。
また、こうした放置自転車や駐輪マナーの乱れは、自転車盗の温床にもなっている。昨年は山口警察署管内の盗難自転車数が県内ワースト1の522件。同管内より人口が多い2位の宇部警察署(466台)、3位の下関警察署(300台)を大きく上回る数だった。今年も既に昨年より8件多い137件となっている。
市生活安全課の職員は「撤去作業にかかる費用や自転車問題に対する一連の作業は、全て税金。格安自転車が出回ることにより、軽い気持ちで自転車を捨てていくのだろうが、マナーの問題と一言では片付けられない」と指摘している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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