2007年07月28日
最年少ドリフトレースドライバー

「普段はびびり屋。でもハンドルを握ると全然怖くないんですよ」――。ゴルフでアマチュア高校生が世間をにぎわしている一方で、誠英高校2年の金岡真矢くん(16)が、スポーツ新聞に“ドリフト王子”などと取り上げられ、自動車レース界で話題になっている。普通免許取得が条件のD1で、日本で唯一、特例で参加を認められている“無免許”の高校生は「将来は誰からも愛されるドライバーになりたい」と夢を語る。
5月、超満員の鈴鹿サーキットで開かれたD1SL(一般公道を走行できる車両で行われる全日本プロドリフト選手権)で、無免許ながらベテラン勢をうならせる走りを披露し、5位に入るという大健闘を見せた金岡くん。乗り慣れていないマシンを約120キロから振ってみせ、予選を70台中11位、シード選手を加えた30台による1回戦を5位で通過すると、ベスト16による決勝トーナメントに進出。2台同時にコースインし、先行するマシンに引き離されたら負け、ドリフトしながら相手の真後ろにつけば勝ちというルールで、1回戦でスタートから相手を多く引き離して圧勝。ベスト4を決める戦いではサドンデスの末に引き離され5位という結果だったが、その走りが話題になり、雑誌「週刊オートスポーツ」や現在発売中の「ドリフト天国」8月号にも大きく取り上げられた。
金岡くんは、1990年12月生まれの16歳。もちろん免許を取得できる年齢ではなく「普段は車に乗れないので、いつも自転車でコーナーを攻める毎日」と、高校生らしい一面ものぞかせる。 初めてレーシングカートに乗ったのは小学4年生の夏休み。カーレース好きの父・光男さん(47)とともに旭村(現萩市)にあるナチュラサーキットに行き、いきなりアクセル全開で周囲の大人たちを驚かせた。その後、同サーキットで開かれる大会に出場し、00年および01年はシリーズチャンピオンに、02年は上位クラスの大会でコースレコードを大幅に更新。このころから「将来はF1ドライバー」という夢を抱くようになった。
中学からは、「兵庫県猪名川サーキットM4クラス」「鈴鹿サーキットPRDクラス」など、県外の大会にもフル参戦。また14歳でフォーミュラーカーに乗るなど、活動の幅を広げていった。
しかし昨年、車のレースに出たくても免許がないため出られないという“年齢”の壁にぶち当たった。フォーミュラートヨタのレーシングスクールを受講し、500人中最終選考の10人にまで残ったが、年齢が理由で落選。この先どうしようかと悩んだ結果、思いついたのが“ドリフトの道”だった。以前から「D1」に、“かっこいい”というあこがれもあり、「18歳までの時間を埋めるため」という目的で、06年2月、カートからドリフトという前代未聞の転向をした。
父の紹介で、プロドライバーの植尾勝浩さんがコーチについてくれることになり、熊本県のセキアヒルズで練習を開始。金岡くんは「イメージと違い、ドリフトはハンドル操作やアクセルワークが予想以上に難しい上、 猛スピードでコーナーにつっこみ、クラッチをける度胸が必要だった」と振り返る。
5月にはD1SLの地方戦に出場。持ち前のセンスで成績を上げ、最高2位、シリーズランキング5位という好成績を残し、特例でD1SLの出場権を獲得。そして今年2月、あこがれだったD1SLに最年少で出場し、80台中13位に入る大健闘を見せた。しかし、1回走るたびにタイヤ交換が必要なドリフト競技。資金面で第2戦への出場をあきらめかけていた時に、プロドライバー・?のむけん?こと野村謙さんが声をかけてくれ、第2戦から「チームユーラス」で出場できることに。同時にダンロップや車のパーツ会社などもスポンサーについた。
金岡くんは「ここまで来たらD1も極め、その後、GTやFニッポン、ル・マンを走りたい。並大抵な努力でかなえられる夢ではないけれど、実現させられるよう頑張りたい」と抱負を語る。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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