2007年09月07日
103年続く徳地三谷のお大師参り 参詣者ゼロでも接待の用意

山口市では秋穂88カ所霊場のお大師参りが有名だが、かつては徳地三谷にある「西北88カ所」にも毎年多くの人が訪れていた。しかし、人口の減少(現在260人)に伴い年々弘法大師信仰は薄れ、4、5年前から参詣者は0人に。祭りをとりやめる地区も出てきている中、年に2回のお大師講の2日、「誰も来なくても続けることに意義がある」と、住民は集会所や寺など4カ所に集い、接待の用意をして参詣者を待っていた。
三谷川沿いに点在する「西北88カ所」は、明治37(1904)年、地元有志によって設置された。以降、弘法大師の縁日にあたる旧暦の3月31日と7月21日には、各地で祭りが開かれ、地区外からも多くの参詣者が訪れにぎわっていた。神原地区の大上フジノさん(90)は「子どものころ、家からお米を持って行き、お菓子をもらうのが楽しみだった」と昔を振り返る。
しかし、年々参詣者は減少。4、5年前から誰も来ない年もあり、祭りを廃止する地区も出てくるように。そして今回、接待の用意をして参詣者を待っていたのは、ついに寿福院、井元達夫さん宅、神原集会所、羽高の4カ所だけとなった。
三谷の場合、お大師様が民家に祭られている所が多く、住民でさえ88カ所がどこにどのような状況で設置されているのか把握していないという。そこで、三谷地域づくり協議会の原健太郎さん(64)は、1カ月前から88カ所台帳を基に一カ所ずつ調査を開始。すると、廃家になって場所を移したものや焼失しているものがあることもわかってきた。まだ調査の途中だが、原さんは地元の人に現状を知ってもらおうと、写真入りの88カ所マップを作成。2日、神原集会所に集まった住民に披露した。
同地区の家本初枝さん(81)は「今は子どももぜいたくになってお菓子だって簡単に買えるし、お年寄りも足が悪くなって来なくなった。参詣者がないのはさみしいが、年に2回、日ごろなかなか集まることのない近所の人と顔を合わすのが楽しみ」と笑顔を見せ、寿福院の大河原宗雄住職(69)は「たとえお参りがなくても、祭りを続けることに意義がある」ときっぱり。また、原さんは「マップが完成すれば、地区内外にPRし、一人でも多くの人に三谷の88カ所を知ってもらいたい」と話している。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース