2007年09月22日
よみがえれ! 井関川の壁画

土手の草に覆われ、カビによって黒ずんだ状態になっていた阿知須の井関川沿いにある五つの壁画が、美しくよみがえろうとしている。11年前に作られ、次第に汚れていくのを見ていた地元有志たちが、清掃活動に乗り出したのだ。このほど、壁面に付着したカビを水圧ポンプで落とす作業が行われ、今後は周りの草刈りや色の塗り直しを行っていく。
井関川の壁画が描かれたのは、今から11年ほど前。県の事業である井関川河川改修を行う時に「どうせなら川に親しみを持てるような工夫をしよう」と、県と当時の阿知須町が考えたのが始まりだった。
町は、同河川の近くにある井関小学校に壁画の原画を依頼。当時6年生だった児童たちが卒業の記念にと、夏休み返上で取り組んだ。また、子どもたちの絵以外に、何か阿知須らしいものを描こうと、玉川地区の伝統的な民俗芸能「闘鶏踊り」を題材にした壁画も業者に依頼した。そして、97年の3月には、川沿いを行く人の目を引く色鮮やかな闘鶏踊りの絵や、子どもたちが原画を描いた川で釣りをして遊んでいる絵など大小合わせて五つが完成した。
当時、建設課長として事業にかかわっていた坂田洋祐さん(70)は「いろんな人に『いいものができたね』と言われた。見た人から問い合わせが来る程だった」と振り返る。
しかし、年月がたつにつれて色鮮やかだった壁画も色あせ、風雨のためにカビが生えて黒ずんだ状態に。その上、壁画の周りにある土手の草も生い茂り、いつしか存在も忘れられるようになっていった。
そんな中、見る度に汚れていく壁画を気にかけていた古川友信さん(69)が「せっかくあるのにこのままではもったいない。何とか元通りきれいにしたい」と発起。所属する玉川地区の老人会や知り合いに呼びかけ、20人ほどの有志と共に壁画の清掃活動に乗り出した。有志たちは今月14日から、本格的に清掃活動を開始。最年少でも60代と体力的に厳しい条件の中、大きいものは横約10メートル縦約3メートルにも及ぶ五つの壁画を、小型水圧ポンプを使い約3日間かけて丁寧に汚れを落としていった。
これまでにも井関川のゴミ拾いや草刈りなどの活動を行ってきた古川さんは「当時、壁画づくりに携わった人たちにきれいになった壁画を見てなつかしい気持ちになってもらいたい」と笑顔で語っている。
坂田さんは「壁画がきれいに生まれ変わるのはとてもうれしい。また道行く人たちが見て楽しめるようになれば」と話している。
なお、地域ボランティアということで市から塗装用ペンキ提供があり、今後は、稲刈りが終わってから周りの草刈りや色塗りを行っていく予定だ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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